- 山本 雅暁
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
- 神奈川県
- 経営コンサルタント
対象:新規事業・事業拡大
- 下村 豊
- (経営コンサルタント)
日経記事;『医療データ 開国迫る巨大IT 診察履歴や服薬情報、電子化遅れ活用難しく』に関する考察
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皆様、
こんにちは。グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
2月21日付の日経新聞に、『医療データ 開国迫る巨大IT 診察履歴や服薬情報、電子化遅れ活用難しく』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『世界の医療に黒船が押し寄せている。巨大IT(情報技術)企業が大量のデータを集め、創薬や診療の姿を劇的に変えつつある。血糖値などをいつでも計測・記録できる腕時計型端末など身近な機器の実用化も迫る。日本は医療の電子化が滞り、規格もバラバラの鎖国状態。研究資源や個人情報の保護さえおぼつかないデジタル後進国になろうとしている。。。』
私は、以前に書いたブログ・コラム記事に、米国食品医薬品局(FDA)が数年前から、医療機器や医療サービスなどのデジタル化を図るため、水面下でアップル、グーグル、アマゾンなどの米大手IT企業と検討を開始していたことを書きました。
いよいよ、米大手IT企業が、具体的なビジネスを展開しつつあります。アップルは、すでに米国でアップルウオッチから、個人が心拍数、心電図、血中酸素濃度を測ることができる仕組みを、FDAの協力のもと実現しています。米国では、医師がアップルウオッチから得られたこのようなデータを診断に使用しています。
アマゾンは、2月8日に同社のテレヘルス事業であるAmazon Careが米国の全域で利用できるようになったと発表しました。Amazon Careは、バーチャルケアと対面診療の両方を提供します。Amazon Careのビジネスモデルは、オンラインと対面の診療を組み合わせるハイブリッド化することによって、「患者ファースト」のヘルスケアサービスを実現するとしています。詳細は、下記Webサイトに掲載されています。
https://techcrunch.com/2022/02/08/amazon-expands-its-telehealth-service-nationwide/
グーグルは、2021年11月にAIを使った創薬事業を手掛ける新会社「Isomorphic Labs」を設立すると発表しました。CEOは、遺伝子情報からタンパク質の立体構造を解析するAI「AlphaFold」や、囲碁AI「AlphaGo」を開発したグーグルの親会社Alphabet傘下のDeepMind創業者、デミス・ハサビス代表が兼務するとしています。
グーグルは、創薬分野にAIを積極的に投資・活用して、革命を起こそうとしています。一般的に創薬は、日本製薬工業協会によると、成功率は1万分の1、創薬期間は9年から17年、開発経費は200億円から300億円にもなるとされます。つまり、創薬の事業化リスクは、大変高いものになっています。
日本では、まだ新型コロナに対応できるワクチンや経口薬が、現時点では国産化されておりません。すべて海外企業の技術力に頼る状況になっています。
日本でも、AIを活用して、創薬する動きがありますが、まだ始まったばかりです。
対して、グーグルは巨額の資金、スーパーコンピューター、AIの技術やノウハウを活用して、創薬ビジネスに入ろうとしています。
上記以外の米IT企業は、ベンチャーも含めて多数の会社が、医療機器・サービスの開発・実用化に入りつつあります。
これは、数年前に米FDAが目論んでいた状況です。FDAは、米国内の医療サービスをより効果的・効率的に行えるようにすることを目的に動いてきました。
最近、FDA傘下の医療機器・放射線保健センター(CDRH)が、2022会計年度に
発行を計画している各種ガイダンスの一覧表および優先順位を示した「2022会計年度CDRHガイダンス提案」を発表しました。
FDAは、このガイダンス提案の中で、AIや医療機器やサービスに使用されるソフトウェアに関するルール作りを明確化しています。
さらに、FDAは、カナダ保健省(Health Canada)、英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)と共同で、「医療機器開発向けグッド・マシンラーニングプラクティス(GMLP):指導原則」を発表しています。
これは、医療機器・サービス向けAIの活用に関するガイドライン・標準化を、米国、カナダ、英国の3カ国で推進しようとする方針になります。この動きについては、下記Webサイトに掲載されています。
米国は、明らかに世界市場での医療機器・サービスの分野で、AIを含めたデジタル活用を自国に有利になるように進めています。
対して、日本では、そのような戦略的な動きは、現時点で皆無です。その前段階の、オンライン診療、医療カルテルの電子化・共有化、マイナンバーカードの活用などすら実現できていません。
私は、今までそして現時点も含めて、国内ベンチャー・中小企業の医療機器・サービスの事業化を、多く行ってきました。
多少の例外を除いて、国内ベンチャー・中小企業は、日本市場ではなく、米欧中近東で医療機器・サービスを事業化しています。これは、これらの企業がITやインターネットを活用した、医療機器・サービスを行っていることによります。現在の国内市場では、遠隔医療を含めて当該事業の導入は難しいのです。
本来であれば、国内ベンチャー・中小企業は、国内市場への導入で得た知見に基づき、米欧市場に参入した方が良いのですが。。。
米欧市場での医療機器・サービスのデジタル化は、MedicaやArabHealthで出展している企業の動きを見れば、急速に拡大・進行していることが一目瞭然です。
それに比べて、日本の動きは、上記の日経記事を読んで、ご理解ください。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
このコラムの執筆専門家
- 山本 雅暁
- (神奈川県 / 経営コンサルタント)
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
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