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中舎 重之
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閲覧数順 2016年12月04日更新

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斑鳩の里:法隆寺夢殿

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              法隆寺:東院夢殿の話

   夢殿は、法隆寺の東の外れにあります。

まずは、表参道の松並木からスタートしましょう。 両側の男松の紺青、芝草の茂った土被り、

その中央の路の白砂、 もうこれだけで、推古の世界に游ぶ心地がします。


   総門に立って、中門をのぞんだ時の寺院境内の雄大さ、

中央に切石での敷石、両側に敷石とほぼ同じ幅の白砂の路、

寺務所の通用門の品格の高さ、さすがに世界に比類なき古代の文化だけの事はあり、 

それだけで私を威圧します。


  東院へは、中門を見て右手(東)に曲がり足を運びます。

路は、あくまでも広く堂々としおり、右手には落ち着いた築地塀が延々と続きます。

 東院の諸堂中、最も重要な夢殿に接するのが目的です。

八角形の円堂として有名な夢殿は、聖徳太子の斑鳩の宮跡と伝えられる地に、

天平11年(739)に僧・行信の発願により、

太子の冥福を祈るために建てられた上宮王院の本堂です。


  二重の石壇上に建つ、一辺455㎝とする正八角形の仏堂です。

四面に扉があり、四隅に連子窓を開いています。 

屋根の軒の出がとても深く3mとあります。 

普通なら重く、そして暗さを感じさせるのですが、ここには其れを感じさせるものは微塵もありません。 

屋根の頂部には、光線を放つ宝珠(ほうじゅ)、宝蓋(ほうがい)、

宝瓶(ほうびょう)を重ねた露盤(ろばん)を置いている。 

これは国内では他に例がありません。

 そして軒のすみずみに風鐸を下げ、火焔を付けた宝珠を配しています。

この構成美に注意をはらって下さい。 お堂は、はなはだ軽快であり、

全体として安定した典雅な形をしており、日本の八角円堂の首座に座る貫禄をもっています。

  
 夢殿の建立は天平時代ですが、様式は朝鮮を経由した中国の六朝時代・北魏の流れを感じさせる

柔らかさと優雅さが見られます。 

八角堂は夢殿の他に法隆寺の西の外れに西円堂(1250年)があり、

興福寺に北円堂(1210年)もあります。

しかし、これらの堂の形式は、明らかに中国の唐時代の影響を直線的に受けていると思われます。 

印象を一言でいうと、軽さより重さ、低さより高さを主張しているかのように感じられます。


 他のお堂の話は終わりにします。 私は縁台に腰をおろして、ぼんやりと夢殿を眺めます。

ここには何かしらロマンがあり、美しいとか、ふるさ故に貴いなど 

と云う以前に、悠久の まにまに 漂う心地がします。 

私は、その雰囲気にすなお に浸ることにしました。


                                              2014年 春  中舎重之


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