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オスプレイ着艦に想う小林秀雄の放言

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憲法第9条

 小林秀雄は、戦後間もなく、ある座談会で、「僕は馬鹿だから反省なんぞしない。利口な奴は勝手にたんと反省すればいいだろう」と放言したそうです(小林秀雄全集第8巻187頁)。江戸っ子が啖呵を切ったようで、かっこいい。しかし理論がない。

 

 米軍のヘリコプターといいますか、飛行機といいますか、垂直離着陸できる飛行機、オスプレイが話題になっています。今年に入り、海上自衛隊の護衛艦の「ひゅうが」や「いせ」に、オスプレイが着艦する訓練などが行われ、ネット上の動画で見られます。60年ほど前、全力で戦った日本とアメリカが、まるで一つの部隊のように行動できる時代がくるとは、まったく、夢のようです。平和のありがたさをしみじみと実感します。

 戦いは、戦う者同士を超えた法則による、それを理解する者同士は友人となれる、とニーチェは言いました(星の友情)。マックス・ウェーバーは、戦争は、利害の対立の結果として行われるのであって、それ以外のことを理由にするのは見苦しいと喝破しました(職業としての政治)。マックス・ウェーバーは、ニーチェを精読していたに違いありません。

 

 さて、戦争が、限られた資源に由来する利害の対立に出来するのであれば、現実を直視する必要があります。そして、その解消のためには、解決に向けた話し合いが必要です。一方的に自分の利益を主張したり、感情をぶつけることが、解決に至る道とは到底思えません。この点、双方の利害を考慮して解決策をさぐる弁護士の能力は、ここで求められる能力に通じるものがあります。

 万策尽きたときは、戦争にいたりますが、我々を超えた法則によると達観できた者だけが、相手に対する尊敬の念を持ちながら、戦争を遂行できるのです。相手が強ければ強いほど、相手がよく戦った者であればそれだけ、尊敬の念は高まります。日米は、真剣に全力で対決したからこそ、今日の信頼関係を築くことができたのだと思います。相手を悪しざまに罵るだけの相手とは、到底、そのような関係を形成することは不可能です。

 小林秀雄は、ニーチェやマックス・ウェーバーには触れていませんが、その野生の勘で同一の結論に達したのでしょうか。

 

 オスプレイの雄姿を見ながら、数十年ぶりにプラモデルでも組み立ててみるか、と呟きました。

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(2011/12/18 22:12)

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