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 実家の蔵の窓の鉄柵の鉄棒が、一本おきに抜けていることに気がついたのは、子供のころでした。祖父に理由を訊ねると、この前の戦争中に鉄の供出で無くなった、全部抜くと泥棒に入られるので一本おきにした、ということでした。

 鉄棒は、鉄砲の弾になったのでしょうか。軍艦の船腹になったのでしょうか。

 私が生れた昭和31年は、もはや戦後ではない、との有名な文句が経済白書に記された年です。国民総生産額が、はじめて戦前の水準を上回ったのです。私の質問は、それから何年か後のことですから、それまでに新たに鉄棒を購入して、抜けた箇所にはめ込むこともできたはずです。

 大正時代に作られたというこの蔵は、その後、幾度か修繕を加えられました。しかし祖父も、跡を継いだ父も、窓枠に新しい鉄棒を入れることをしませんでした。

 戦時下の厳しい経済統制のもとで苦労した話をたまの機会に聞くことがありましたが、祖父や父の、意固地とも思えるこの不作為とは、何か関係があったのでしょうか。

 それを目にした道行く見知らぬ人から、壊さないで大事にしてくださいね、と声をかけられたこともあるこの蔵は、70年目の真珠湾攻撃の日を過ぎた今も、よく見れば、歯欠けのような鉄柵を、誇るでもなく、卑下するでもなく、そのままの姿をさらしているのでした。

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