「中小会計指針」~その4~ - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

山本 憲宏
山本公認会計士事務所 所長
滋賀県
公認会計士
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「中小会計指針」~その4~

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今日も前回に引き続き、「中小会計指針」の本文の抜き出しです。

今日は「各論」の「固定資産」「繰延資産」「金銭債務」「引当金」「退職給付債務・退職給付引当金」「税金費用・税金債務」「税効果会計」の項目の本文の抜き出しを行います。

 

固定資産

・固定資産の減価償却は、経営状況により任意に行うことなく、定率法、定額法その他の方法に従い、耐用年数にわたり毎期継続して規則的な償却を行う。

・圧縮記帳は、原則としてその他利益剰余金の区分における積立て及び取崩しにより行う。

・予測できなかった著しい資産価値の下落があった際には、取得原価を減額しなければならない。なお、当該減損額は、減損損失として損益計算書の特別損失に計上する。

・ゴルフ会員権は取得原価で評価する。ただし、時価があるものについて時価が著しく下落した場合又は時価がないものについて発行会社の財政状態が著しく悪化した場合には、減損処理を行う。

 

繰延資産

・繰延資産とは、代価の支払が完了等し、役務提供を受けたものにつき、その効果が将来にわたって発現することが期待される費用で、資産として繰り延べたものをいう。

・創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債発行費、新株予約権発行費は、原則として費用処理する。なお、これらの項目については繰延資産として資産に計上することができる。

・税法固有の繰延資産は、法人が支出した費用で、その支出の効果が支出の日以後1年以上に及ぶものをいい、会計処理を行う場合は、長期前払費用等として計上する。

 

金銭債務

・金銭債務とは、金銭の支払いを目的とする債務をいい、これには、支払手形、買掛金、借入金、社債等が含まれる。

・金銭債務には、債務額を付す。

・デリバティブ取引に係る正味の債務は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は、当期の損益とする。

 

引当金

・将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失とし、引当金に繰り入れなければならない。

・引当金には、賞与引当金のように法的債務(条件付債務)である引当金及び修繕引当金のように法的債務でないが将来の支出に備えるための引当金がある。

 

退職給付債務・退職給付引当金

・確定給付型退職給付制度(退職一時金制度、厚生年金基金及び確定給付企業年金)を採用している場合は、年金数理計算に基づき算定した退職給付債務から外部拠出した年金資産の額を控除した額を退職給付に係る負債(退職給付引当金)として計上する。ただし、一定の場合には、退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法(簡便的方法)を適用できる。

・中小企業退職金共済制度、特定退職金共済制度及び確定拠出型年金制度を採用している場合は、毎期の掛金を費用処理する。

 

税金費用・税金債務

・法人税、住民税及び事業税に関しては、現金基準ではなく、発生基準により、当期に負担すべき金額に相当する額を損益計算書に計上する。

・法人税、住民税及び事業税を算定するための課税標準は、税引前の当期純利益に対し、税法特有の調整項目を加算・減算することによって算定される。

・法人税、住民税及び事業税の未納付額は、相当額を流動負債に計上する。

・消費税等については、原則として税抜方式を適用する。

 

税効果会計

・一時差異(会計上の簿価と税務上の簿価との差額)が生じた際に、将来その一時差異が解消されるときに課税所得が減少し、それに伴い税金費用が減少することにより純利益が増加する場合には繰延税金資産を計上する。また、一時差異が解消するときに課税所得が増加し、それに伴い税金費用が増加することにより純利益が減少する場合には繰延税金負債を計上する。なお、一時差異に重要性がない場合には繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しないことができる。

・繰延税金資産については、回収可能性があると判断できる金額を計上する。回収可能性の判断は、収益力に基づく課税所得の十分性に基づいて、厳格かつ慎重に行わなければならない。

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