「中小会計要領」~各論その6~ - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

山本 憲宏
山本公認会計士事務所 所長
滋賀県
公認会計士
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「中小会計要領」~各論その6~

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今回も「中小会計要領」の各論の解説の続きです。

今回は、「6.棚卸資産」を取り上げます。

 

まずは、本文の抜き出しからです。

 

(1)棚卸資産は、原則として、取得原価で計上する。

(2)棚卸資産の評価基準は、原価法又は低価法による。

(3)棚卸資産の評価方法は、個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、最終仕入原価法、売価還元法等による。

(4)時価が取得原価よりも著しく下落したときは、回復の見込みがあると判断した場合を除き、評価損を計上する。

 

 棚卸資産とは、商品、製品、半製品、仕掛品、原材料等のことをいいます。

 棚卸資産は、購入金額に付随費用を加えた購入時の金額、すなわち、取得原価に基づき取得原価を計算します。製造業の場合においては、製品原価のために要した材料、労務費及び製造経費を積算し、取得原価である製品原価を計算します。

 期末の金額につきましては、個別法、総平均法、移動平均法、最終仕入原価法、売価還元法等により計算します。最終仕入原価法につきましては、最後に仕入れた棚卸資産の単価に期末在庫の数量を乗ずることで棚卸資産を計算することになります。そのため、期末在庫の数量が最後に仕入れた棚卸資産の数量を上回っている場合には、上回っている数量につき時価で評価したことになります。そして、上回っている数量に関して、最後に仕入れた価格よりもその取得単価が低い場合、その部分に関して未実現利益を計上することになります。そういう弊害があるため、会計的には、最終仕入原価法については認められていませんでした。しかし、法人税法上は、棚卸方法の評価方法につき届出がない場合、最終仕入原価法により評価することとなっています。また、在庫数量並びに単価につき継続的に記録することが、個別法、総平均法、移動平均法には求められていますが、すべての中小企業に在庫につき継続記録を求めることは困難なことからも、最終仕入原価法が認められているものだと考えます。

 棚卸資産の評価基準には、取得原価により期末棚卸資産を評価する原価法の他に、期末における時価が取得原価よりも下落した場合に時価により評価する低価法もあります。この低価法は法人税法上も認められています。

 

 「中小会計要領」において、棚卸資産についても減損処理が求められています。

 減損処理を行うにあたっての棚卸資産の時価は、商品、製品等については、個々の商品等ごとの売価か最終の仕入金額により把握することが考えられます。

 時価を把握することが困難な場合は、棚卸資産が著しく陳腐化したときや、災害により著しく損傷したとき、あるいは、賞味期限切れや雨ざらし等でほとんど価値がないと判断できるものについては、減損の対象となるものと考えられます。

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