実家の土地の生前贈与
実父は87歳、実母は既に他界しております。子は私(次女)と姉(長女)の二人だけです。現在空き家となっている実家を取り壊し、私たち家族の住居を建築しないかと、姉から提案されました。
姉は既に自分の住居があります。姉の夫も、「土地を売却するのはもったいない。転勤が多く、借家住まいを続けた私たち家族に新居を建ててもらうほうが良い。」との意見です。父も私たち姉妹に判断を任せるとのこと。
このような場合、生前に贈与と言う形になるかと思いますが、どのような手続きが必要でしょうか?また、税金面などはいかがでしょうか?主人からは「借地と言うやり方もあるのでは?」と言う意見も出ました。親から借地して住居を建てた場合、死亡時に再度相続の問題は発生しますか?それぞれのメリット・デメリットなど、教えていただければ幸いです。
借地を選択した場合ですが、私ども夫婦(夫55歳、妻50歳)がともに死亡後は、「姉またはその配偶者(その時点で二人とも死亡していた場合は、彼ら二人の子供)に権利を譲る」という取り決めを、実父の遺言書に書き残してもらい、相続時の権利関係を明らかにしておくことなどは、可能でしょうか?あまり一般的な事例ではないと思いますが、この点についても教えていただけたらと思います。
paopaopinさん ( 埼玉県 / 女性 / 50歳 ) | 2006/04/29 17:56
土地の生前贈与
空き家となっているご実家は、お父様の名義との認識でよろしいのでしょうか?
お父様名義の土地にお子さんが家を建てて、土地も家もお子様の名義にする場合は、土地はお父様からの贈与となります。贈与には年間110万円までの基礎控除があり、年間贈与金額が1人110万円までなら、受贈者に贈与税はかかりませんが、それを上回る金額には6段階方式の累進税率で最高50%の贈与税がかかります。もし、贈与後3年以内にお父様がお亡くなりになってしまったら、贈与時点での価額を相続財産に加算して相続税を計算することになります。
お父様のご年齢が65歳以上で、お子様が20歳以上の場合の生前贈与には、2,500万円までは非課税となる相続時精算課税制度を利用することができます。この制度は、生前贈与された財産を、相続時に他の相続財産と合わせて課税する制度のことです。贈与を受けた時点では、2500万円までは非課税となり、それを上回る部分には一律20%の贈与税が課税されます。その後、親が死亡し、財産を相続したときに、その相続財産と生前に贈与を受けた財産とを合算した金額に対して相続税が課税されます。ただし、この制度を選択した場合は、贈与者の相続時まで継続し、変更することはできません。
上記のどちらの場合も、税務署に申告の必要があります。
また、お父様が所有している土地をお子さんが無償で借りて家を建てる場合は、使用賃借による土地の使用権についての贈与税は課税されません。
空き家の敷地が贈与財産の評価として2,500万円以内で、かつ、将来相続税が課税させる程の相続財産がなければ、今回、相続時精算課税制度を利用して贈与を受けておくことで、姉妹の間の権利関係の整理が進むと考えられます。
借地する場合には、相続の時にその敷地の分割について、姉妹での調整がスムースにできるのか不確実性が残ります。
基本的には法律相談の範囲なので、弁護士に相談されてください。
権利を譲ると言っても、使用貸借契約では借地権がある訳ではないので、建物の所有権を譲り受けた人と土地所有者の権利関係を今から確定させておくことは難しいのではないでしょうか。土地の相続人をお父様に遺言で明確にしておいてもらうことは可能で、その相続人と建物所有者が使用貸借契約を引き継ぐかどうかということでしょう。
詳細は法律相談になりますので、弁護士にお願いいたします。