大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「科学のない、思いつきの英語教育ーカナダから呆れて見ています」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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科学のない、思いつきの英語教育ーカナダから呆れて見ています

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日本の英語教育 2017-02-15 14:25

ー2020年から英語に親しむ活動の開始を小学3年に早め、小5から英語を正式教科とするとのこと。3、4年では「聞く」「話す」を主体として、5、6年から正式教科となる「英語」では「読む」「書く」を加え、教科書を使い成績もつける。授業の改善で「対話的で深い学び」を実現し、思考力や主体性を伸ばす。ー

(日本経済新聞より)

 

38年日本で英語思考法を指導し、ほんの一握りの日本の子供たちの脳にですが、本物の英語の基礎を作りました。

惜しまれる声を振り切ってカナダに移住したのが昨年9月です。

 

38年間、いやそれよりもずっと前、私自身が受けた授業の時から全く変わることのなかった、いわゆる日本の「英語教育」にうんざりしたというのが本音です。

 

戦後、英語教育が学校に復活して以来、上向くことのない日本人の英語能力。

なぜ日本人は英語が出来ないか。

 

科学的根拠に基づかず、単なるその時の担当者の思いつきに簡単に影響を受ける指導方針。

今回もその「思いつきに基づいた」指導要項だと見え見えなのが、なんとも腹立たしいです。

犠牲になるのは子供たちですから。


 

決めた人たちに質問です。

 

1.小学校での英語教育の成果は一体?

 

これに関しての純粋に科学い基づいたリサーチ結果を目にすることがありません。

何年生からどう教えるかを議論する前に、まずは小学校英語教育の結果を目の前におくことが必須では。

 

中学生以降の英語力が上がりましたか?

日本では他に調べる方法がないでしょうから、いわゆる学校のテストでも構いません。

小学校で英語教育のまがい物が始まってから、中学・高校以降の生徒たちの英語力は目にみえて上がったのでしょうか?

 

恐らく上がってないんでしょうね。

だから、「じゃ、正式教科にしたらうまくいくんじゃないか!」との思いつきが出てきたのだと思います。

 

成果が上がっていないことへの科学的分析はしたのでしょうか?

というよりも、成果が上がらないならなぜ続けるのかな?

 

無意味で退屈ないわゆる「英語教育」を我慢する子供たちのことを考えたことなどないのでしょうね。

 

カナダの子供たちには実に自由時間が多いです。 多すぎるほど。

そのたっぷりの時間の中で、我儘に思えるほど自分の意見を成長させていってます。

「英語」とは自分のアイディア、相手のアイディアを論理的にコミュニケートする言語だからです。

 

大人が勝手に決めて「これを覚えろ!」というのが英語ではないですけどね。

 

 

2.英語のみならず、教育の質は「何を教えるか」ではなく「どう教えるか」にかかっています。

 

指導法についての科学的研究が多く存在するのはこのためです。

例えばBig History Project

Big Bang に始まる宇宙全体、そして人類の歴史を科目の境界を超えて生徒たちに考えさせる学習です。

教材すべてがクリティカル・シンキングに基づき「なぜ?」を考える生徒自身の思考過程へ助言していくのが指導者に必要なスキルです。

 

日本人に英語を「どう教えるか?」

この”HOW” が常に欠けているのにイライラします。

 

「聞く」「話す」ってどう教えますか?

単に外国人指導助手の後について、オウム返しに単語を発音することを「話す」とは呼びません。「話す」とは自分のアイディアを語ることです。

 

「聞く」とは相手のアイディアを理解することです。

そこに自分のアイディアで返すことが「話す」です。

 

小学生にいわゆる「英語指導」している教師自身にそのスキルがありますか?

(中学・高校英語教師の質もかなり悲惨だと思いますが)

英語以前のこととして、小学生から個々のアイディアを引き出すスキルがありますか?

ないのであれば、何年生から教えても効果など上がりません。

 

 

カナダから「あかん。。」と、日本の英語教育を眺めています。

とんでもない大きな勘違いのもと、せっせと英語下手を作りだしている、これが日本の英語教育のようです。

 

まずは、日本の子供に「考える」ことをさせること。

そしてその考えを明確・具体的に表現することが英語であると気づかせること。

 

脳の発達から言うと大体10歳くらいから、こんな「教育」が可能です。

幼児英語教育の無用論を随分書きましたが、これが理由です。

 

奇しくも新しい指導要項の英語教育開始時期と、科学的なお勧め時期がまあ一致していますね。面白い。

 

どうしても文部科学省側の「科学的根拠」を聞いてみたくなりました。

せっかくの名前が泣きますからね、「文部科学省!」。

 

Google で “Why are Japanese...” と入力すると必ず出てくるのが “Why are Japanese so bad at English?”

 

そろそろ教育に科学を使うべきでは?

 

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