大塚 嘉一
オオツカ ヨシカズマランツ8Bを修理する
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最近、我が家のオーディオセットのメインのソリッドステートアンプの調子がよくないので、真空管アンプを引っ張り出してきました。銘機マランツ8B。オリジナルは、1961年発表ですが、私のはレプリカなので、1995年製です。レプリカと言っても、アメリカのマランツ社で作られた、ホンモノです。
これも中古で購入し、しばらく聴いていたのですが、調子が悪くなり、お蔵入りとなっていたものです。改めてトライしてみるのですが、やはりスイッチを入れても、音が出たり、出なかったり。困った。そこで、Nさんに電話してみました。Nさんは、真空管アンプの同好の士、いや師匠、いま公証人もと弁護士、裁判官。
症状を伝えると、直ちに、まずここをチェックし、次にここをこうして、と具体的なアドバイスが頂けました。帰宅して、まず、フューズ。これはOK。次に電源コード。これも大丈夫。裏蓋を開けてB電源のチェック。電源トランスの配線を追っていくと、ありました、ありました。一ヶ所、出力管のソケットの端子との半田付けが不完全なのでした。俗に言う「テンプラ」で、半田が線と端子に回っていないのです。私に見つけてもらうことを待っていたという風情で、実に寂しそう。昔、月曜日に作られたアメ車には乗るな(休日ぼけの影響)、と言われていました。私の8Bも、月曜日に作られたのでしょうか。
早速、半田付けをやり直しました。修理が完成し、スイッチを入れると、音が出ました。いわゆるハイファイではないのですが、大変迫力のある音です。さすが名出力管EL34(6CA7)のプッシュプル。早速、久石譲のベートーベン交響曲第7番を堪能しました。別の真空管アンプ、澄んだような300Bのシンブルとは、違って、どちらもいい。
次々に故障の原因を探っていく作業は、今勉強中の統計的因果推論の実践のようで、とてもスリリングでした。
Nさんに感謝。