対象:住宅設計・構造
森岡 篤
建築家
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階高変動によるアップ:要素に分けて考える
クロッカスさんこんにちは
パルティータ建築工房の森岡です。
**階高について
マンション住宅系では、断面の大きな大梁下は、区画としてくぐれれば良いこととし、床下あるいは小梁下での天井高(2.4m程度)で良いため、3m程度(3m弱)の階高が多いです。
これに対し、事務所ビルでは、大空間を確保するため、大梁下で(均一の)天井高が必要となります。
天井高自体住宅系より高く、2.6m以上は必要で、より高い天井高として、差別化しているビルも少なくありません。
今回のご質問も、高い天井高を想定されてのお話かと思います。
又、電気、通信のケーブルを床スラブ上で自由に取り出しでフリーアクセスとするため、さらに寸法が必要です。
最近の事務所ビルのデータを集めたわけではないですが、標準的な階高は、3.5m以上ではないかと思います。
私が過去に関わった事務所ビルでも、3.5~4mが多いです。
(S造かSRC造か、スパン長により変動)
**階高アップによるコスト変動
ここでは、階高が1.5倍になったと仮定し、コスト変動要素を考えてみましょう。
・建築仕上では、階高が1.5倍なので、外壁、内壁の数量が1.5倍となります。
床面積は変わらず、床・天井仕上数量は変わらないので、建築仕上合計で1.0倍から1.5倍の間となります。
カーテンウォールのようにコストが高い外壁の場合は、1.5倍に近づきます。
・構造骨組のアップは、構造方式(ラーメンかブレースか)により一慨には言えません。
ラーメン構造の場合は、
柱の長さは1.5倍になるだけでなく、断面も大きくなります。
大梁は長さは変わらないが、断面が大きくなります。
従って、構造コストは1.5倍よりは小さいが、1.25より大きくなります。
これらの要素を合計すると、1.2ー1.3倍程度の値で、外壁仕上のように、数量が増えるものが高額であれば、数値が大きくなると考えられます。
参考にしていただけたら幸です。
(現在のポイント:-pt)
この回答の相談
都心の商業地に建坪40坪ほど、10階建ての事務所用テナントビルの建設を夢想しています。天井の高い建物にしたいと思い、通常は階高3000程だと思いますが、これを例えば4500程(1.5倍)にした場合、建築費はどの程度上昇するものでしょうか。ちなみに高さ制限の問題はありません。
クロッカスさん (東京都/50歳/男性)
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