対象:特許・商標・著作権
職務発明の権利について
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ご質問について以下のようにご説明させていただきます。
(1)について
契約、勤務規則その他の定めが有効な場合には、当該発明の特許権は使用者である会社に帰属します(特許法第35条2項反対解釈)。
そうしますと、当該発明の発明者が当該発明を利用(実施)した場合には、会社は発明者から実施料をもらう権利が発生します(特許法77条2項、78条2項)。このことは、当該発明者が退社していた場合も同様です。
つまり、会社在籍中に会社の設備などを利用してなされた発明は職務発明(特許法35条1項)に該当し、このような職務発明に係る特許権を会社に譲渡した場合には、発明者はたとえ退職していても、在籍していた会社から対価をもらう権利があります(特許法35条3項) が、権利者である会社と実施者である発明者との話し合いによるでしょう。
補足
(2)について
「その会社」が、「発明者が起業した会社」を意味なさっているならば、発明者はその会社から対価の請求を行うことはできません。
また、「その会社」というご記載が、”以前の会社”である場合には下記のようになります。
発明者は会社に特許権の譲渡をした場合には、「相当の対価」を請求する権利を有します(特許法35条3項)。このことは、当該発明者が退社している場合も同様です。
「相当の対価」とは、当該発明者と会社との話し合いによって定められた対価であって、客観的に合理的と認められる額である必要があります(特許法35条4項)。 不合理と認められれば、会社がその発明の実施によって得るであろう利益の額を考慮して対価が定められます(特許法35条5項)。
なお、実施報償については、その算定方法が勤務規則に定められていることも多いと思います。その場合、開示の状況等に問題がなければ、 勤務規則の規定が優先されます。
対価の算定は非常に困難な問題ですから、こじれた場合は、裁判による判決によって定められてしまいます。
但し、特に退職後の職務発明の対価の請求に際しては、消滅時効が問題となることがあります。 消滅時効の起算点については、一概に定めることはできませんが、 一般に、職務発明規定に実施報償の支払時期の定めがある場合は、 当該支払時期を起算点として10年となります。
この10年の期間を経過した場合、対価請求権を行使することができなくなりますので、 注意が必要です。
評価・お礼
kent さん
ご丁寧な説明ありがとうございました。
良く理解できました。
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この回答の相談
2点質問があります。
職務発明で発明した内容を発明者が全ての権利を
会社に譲渡したとします。(特許出願報奨金2万円で)
その場合
(1)その発明を利用して、個人で起業した場合、元々所属していた会社に… [続きを読む]
kentさん (神奈川県/39歳/男性)
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