- 渋谷 好幸
- 株式会社渋谷都市開発 代表取締役
- 東京都
- 不動産コンサルタント
対象:住宅検査・測量
- 伊藤 裕啓
- (一級建築士)
- 伊藤 裕啓
- (一級建築士)
ソーラーパネルの反射光が・・・
「お客様の自宅南側に接する隣家が改築され、屋根の南北両面に太陽光パネルが設置されました。そのうち、北面パネルからの反射光が自宅2階の開口部を直撃し、晴天の日は眩しくて2階が使えない。この北面パネルの全部か一部の撤去、もしくは設置位置の変更を請求したいとの事ですが可能ですが?」
都や国からも補助金が出るとあって、こぞってソーラーパネルの設置を推していましたが、まさにそんな現在を象徴する問題に直面した方からの相談でした。
見解としては...
◎受忍限度を超えた反射光被害も妨害排除請求の対象に。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。省エネ対策として太陽光発電用ソーラーパネルの設置が盛んに奨励されていますが、それに伴ってパネルの反射公害トラブルが発生しています。
横浜市郊外の住宅地で、X1とX2(以下Xら)は共有で2階建て居宅を新築し入居。Y1は太陽光発電用ソーラーパネルを屋根の南東側に7枚、北西側に12枚設置しました。(Y1の敷地は南側が狭く、このため屋根の面積は南東側より北西側が広い設計)竣工後、曇天後、曇天を除き、Y1居宅屋根の北西側パネルの反射光がX宅1階の3部屋、2階の3部屋、階段、2階のベランダに8時45分~12時55分頃まで差込み(部屋の位置により長短あり)、その反射光は通常の屋根の反射の輝度と比較して100倍以上(最大で4000倍超え)となりました。
反射光は通じて差し込むため、Xらは晴天時の午前中は建物内に居てもまぶしくて南東側に目を向けることが出来ず、居室内で洋裁等の作業が出来ないほか、2階のベランダに出る際はサングラスを着用せざるを得ない状態でした。このソーラーパネルは某メーカーの製品で、Y1の発注により建築会社Y2が設置したものでした。
Xらは建物竣工前にY1に対してパネルの反射光の説明を請求。Y2の担当者はX建物への反射光を確認し、反射光を防ぐ方法として、パネル撤去案(撤去費用37万8000円とパネル買取費用233万2050円はXらの負担)等を提示。Xらは同案について難色を示したが、Y1は「建物は建築基準法に基づく適法な建物で、太陽光反射は自然現象であるから、加害責任はなく、撤去の必要は無い。」との見解を示しました。
そこで、XらはYらに対し、北西側パネルの全部撤去と慰謝料各100万円、弁護士費用各10万円の支払いを提訴しました。裁判所は「Y1は本件パネルの設置によりXらの建物所有権の円満な行使を妨害し、日常生活の平穏を害した。」また、Y2は業者として本件パネルの設置でX宅に反射光被害が及ぶことは予見可能であった。」とし、Y1に北面側パネル12枚全部の撤去を、YらにXらへ各金11万円の連帯支払いを命じました(平成24年4月18日 横浜地裁判決)
本件は、この判例を参考に話し合い、不調の場合、公害調停申し立てか民事訴訟提訴を検討と出ました。
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