- 国府谷 明彦
- カウンセリングセンター聴心館 聴心館館長
- 東京都
- 厚生労働省認定 産業カウンセラー
【聴心記「心の炎」】第5回 感情と思考(1) [カテゴリーを変えて再掲載]
今回は,感情と思考の話をしましょう。感情といっても大きくふたつの系統があります。何だと思います?「喜び系と悲しみ系?」それだと怒りはどうなります?「じゃあ,プラスの感情とマイナスの感情?」そんな分け方もありますね。前回のお話の「感情をポイッと捨てる」のは「マイナスの感情」だけでよかったのですね。
話がそれちゃいましたね。実は,感情には「素朴な感情」と「複雑な感情」があるのです。「目の前に熊が出た」みたいな時に感じる「びっくりした」「恐い」というのが素朴な感情。身体的な面で「気持ちいい」なんて言う感情もこの部類です。こうした感情は,脳の扁桃体と呼ばれている部分で感じられています。扁桃体は大脳皮質の内側にあります。ある種の動物脳といえます。もう一方の複雑な感情は,たとえば「プレゼントをもらって,物自体よりその気持ちがうれしい」とか「よくよく考えると馬鹿にされたようで悔しい」といった感情です。こうした感情は,大脳皮質の一部である前頭葉で感じています。いわゆる人間脳の部分ですね。
なんでこんなお話をしたかというと,人は感情を感じる前に,何かを認識しています。認識というと難しく聞こえますので「察知」と呼びましょう。「察知」をしてそこから「感情」が出てくる。さらに,その「感情」から「思考」が出てくるのです。人間の感情には原因はありません。出来事や人の行動などの「状況」から,それがきっかけとなって「感情」が出てきます。そのきっかけを「察知」しているのです。この察知の段階で,実はある種の「思考」が出ているのです。この「思考」は,子どもの時から経験し鍛えられて行われているので,ほんの一瞬でほとんど自動的に出てきます。考えるなんていう時間をかけずに,反射的に出てくる「思考」です。この「思考」を認知行動療法では「自動思考」と呼んでいるのですが,難しい話は「認知行動療法WEBセミナ」に譲ることにしましょう。
さて,「察知」して「感情」を感じて「思考」するという流れがあります。さらにこの「思考」から新たな「感情」が巻き起こります。こうした連動が常に起こっているのですね。たとえば,「通勤で駅に向かう道で携帯電話を家に忘れてきたのに気がついた」としましょう。このとき「あっ,忘れた」となります。そして「やだなあ」という思いが出てきます。「取りに帰ろうか」と思います。「あっ,忘れた」が察知,「やだなあ」が感情,「取りに帰ろうか」が思考です。この順序で,出てきているのです。
次回は,こうして出てくる感情を,思考と組合せながらどう取り扱うかのお話です。
【2012.7.23:このコラムは不定期に更新されます】
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