古い建物の増改築は難しい/「既存不適格」という壁 - リフォーム・増改築全般 - 専門家プロファイル

堀 紳一朗
忘蹄庵一級建築士事務所 代表
東京都
一級建築士

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対象:リフォーム・増改築

森 幸夫
森 幸夫
(代表)
木下 泰徳
(アップライフデザイナー)

閲覧数順 2024年04月24日更新

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古い建物の増改築は難しい/「既存不適格」という壁

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設計の方法

ほとんどの古い建物が、当時は法律に従って建てたとしても度重なる法律の改正により、現在の建築基準法を満たしていない状態になっています。これを専門用語では「既存不適格」と言います。

古い建物に増築する場合には増築部分はもちろんのこと、既存の古い建物も現在の法律に適合させなければならなくなります。構造関係、防火関係、容積率や高さの限度など「既存不適格」の項目は多岐に渡りますが、この中でも特に構造耐力不足により耐震改修をしなければならないという要求が増築工事を阻むことになります。住まい手の生命や財産を守るという意味で耐震改修は一般論としてはよいことですが、例えば部屋を1つ増築しようとしたら家一軒まるごと耐震改修をしなければならなくなるなど経済的にも生活する上でも不合理な要求を突き付けられたりもします。

愛着のある和室だけを残して住宅を建て替えてほしいというご相談をいただきました。

既存和室にそのまま住居を増築していくと和室を現行法規に適応させるため耐震改修をしなければならなくなります。そこで構造が分離している別棟で住居を増築し、既存建物に現行法が適応しないで済むようにして完了検査を受け、検査後に渡り廊下を兼ねた玄関で2つの棟を繋ぐ方法を取ることにしました。2つの棟を繋ぐことで既存和室を耐震改修する必要が生じないのかというと、一定の条件を満たせば適法に渡り廊下で繋ぐことができます。すなわち、2棟を繋ぐ部分を一定規模以下にすることで既存部分は現行法の適応から除外され、且つ増築の確認申請が不要とすることができるのです。

こうして実際に住むこととは関係ない法律の都合に、建て主は振り回されることなく希望の間取りが叶うこととなりました。

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