一般的に、老齢厚生年金は60歳から支給が開始されるものとして広く認識されていますが、本来は65歳からであって、60歳から64歳までの間に支給される年金はあくまでも「特老厚」なのです。
そのカラクリは、1986年に行われた年金制度の大改正に起因しています。
その時に、もともと60歳であった老齢厚生年金の支給開始年齢を65歳に引き上げることに決めたのですが、いきなり5年もの空白期間が設けるのは現実的ではないとして、厚生年金の加入期間が1年以上あって老齢基礎年金の受給資格期間(原則として25年以上加入)を満たしていれば、当分の間、60歳から64歳まで老齢厚生年金を特別に支給することになったのです。
したがって、現在騒がれている支給開始年齢を65歳に引き上げるということは、もう20年も前に決められていたことになります。
サラリーマンが将来受け取る老齢年金は、60歳から64歳まで支給される特労厚、65歳から支給される老齢厚生年金、いずれも2階建てで受け取れるしくみになっています。
特労厚の場合は1階が「定額部分」で2階が「報酬比例部分」という構図になっていて、原則として、定額部分は「1676円×支給乗率×被保険者月数×物価スライド率」、報酬比例部分は「平均標準報酬月額×支給乗率×被保険者月数×物価スライド率」という算式で計算されます。
また、一定要件を満たせば、扶養する配偶者や子供がいると「加給年金」という家族手当のようなものが付いてきます。