地方にはその地方特有のコミュニティがあります。私が係わっている消防団音楽隊についてお話ししたいと思います。都道府県によって若干様子が違うかと思いますが、私の住んでいる長野県内についてですのでご了承下さい。
火災現場での消火活動と人命救助にあたるのは消防署に所属されている消防士の方々。いわば消火活動のプロ。
消防団の団員は平時では本業を持ち、災害時では消火・応急手当・避難住民の誘導などをおこないます。有事に備え日頃から訓練をおこなっています。
消防団音楽隊は消防団の組織の中に属し、主な担当は「防火の広報活動」にあたります。消防出初式や地域のイベントで演奏することで「火災のない街づくり」の広報をおこなう活動になっています。音楽隊の楽器編成は吹奏楽で使われる楽器・編成で、隊員の数は市町村の人口比率とほぼ同じですが、何人以上いなければならないというきまりはありません。
年間で演奏する機会はこの辺りの社会人の吹奏楽団体に比べると多いと思います。午前中の早い時間の本番も多く大変ですが積極的に地域に出て演奏活動をおこなっています。
消防団は男性が圧倒的に多いのですが、音楽隊は女性隊員の方が多いのも特徴の一つです。
また、一般の吹奏楽団体のように辞めたくなったら辞めるということは原則できません。消防団活動は公的な面が強く、趣味だけで演奏するということではないようです。大変なだけに互いに助け合い、地域の暖かい声援が活動へのなによりの励みとなっています。
近年長野県内でも消防団員として活動する女性も増えており、社会の流れとして男性だけで団を構成するというところから脱却しようと積極的に活動しています。男女問わず消防団員や音楽隊員としての活動は家族の協力なしにはできません。地域のコミュニティと家庭が車の両輪となって成り立つ活動ですし、防災・減災の観点からも地域の絆の重要さが見直されています。
東日本大震災からもうじき1年。震災後、消防団の活動と活躍、存在意義が改めて評価されています。
3月1日(木)から7日(水)まで、春の全国火災予防運動が実施されています。
このコラムの執筆専門家
- 成澤 利幸
- (長野県 / 音楽家、打楽器奏者)
- 成澤打楽器音楽教室
音楽はみんなのもの
楽器の演奏は専門家からのちょっとしたアドバイスによりスムーズに上達したり音楽の奥深さに触れることがあります。ドラムやマリンバ、いろいろな打楽器のレッスンを通して皆さんのお力になれればと思います。
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