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遠野 未来
遠野未来建築事務所 代表
東京都
建築家

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対象:住宅設計・構造

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●土壁の自然素材による断熱補強例・・・エコキャビン壁仕様

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土の家、土壁

土壁の自然素材による断熱補強例・・・エコキャビン壁仕様

 

岩手県葛巻町森と風のがっこう、エコキャビンでで3年前につくった「土壁」の仕様です。 

http://tonomirai.jugem.jp/?day=20120225

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このつくりかたで、零下20度を超える時もありながら、薪ストーブと薪ストーブによる床暖を使うと冬「温かい」といいます。


この建物は外と中で2重の土壁になっています。その外側に土と藁を混ぜた「泥だんご」による断熱。広間部分はヨシによる断熱。その場で取れる素材でどこまでできるか?を試したかったので、壁には既製品の断熱材は使っていません。(天井は羊毛断熱材を使いました)

 

計算すると、この壁の断熱性能はU=0.97。次世代省エネⅠ地域の基準がU=0.35ですから、数値的には次世代省エネの1/2.7程度の断熱性能しかない事になります。ちなみに土壁だけ233mmの壁の場合はU=2.05。ムクの土壁だけよりは2倍以上の断熱性能となっています。

 

数値上は不足している断熱性能ですが、薪ストーブと薪ストーブによる床暖を使うと冬「温かい」のは 土壁の蓄熱性によるもの です。

 

この例で、その蓄熱効果がわかったわけですが、これより、更にその蓄熱性を上げるには・・・

 

土壁1と2の間の空気層をなくすこと が考えられます。

 

この建物でなぜ空気層ができたか?というと、大壁仕様にしたいとき 木摺り下地で内側の壁をつくると、下地の裏側に10mm前後のスキマができてしまう・・・ということです。

それをなくすには、外側の土壁から順に厚く塗り重ねていくしかなありません・・・

 

この空気層があるのとないのでは、どれだけ土壁の蓄熱効果が違ってくるか?・・・

 

今年、それを知るため長野のアトリエDEFさんと土壁の実験棟をつくって温熱測定をする予定です。

 

土壁を現代に復活させるには、きちんと温熱データをとり、実証して行く必要があると考えています。 結果が出ましたら、ご報告させて頂きます。

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