エアコンいらずの家:越屋根で温度差換気 - 新築住宅・注文住宅 - 専門家プロファイル

伴場 吉之
株式会社コルピソス 所長(代表取締役)
東京都
建築家

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:住宅設計・構造

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

エアコンいらずの家:越屋根で温度差換気

- good

  1. 住宅・不動産
  2. 住宅設計・構造
  3. 新築住宅・注文住宅
設計監理

実家(群馬県太田市)の傍の民家です。

かつては、1階の囲炉裏の暖が2階の蚕棚を温め、

越屋根で、高低差に依る温度差換気しました。

夏は、南から来る涼風を入れ、北のクネ(防風林)や竹薮からの涼気の染みだしを受け、越屋根で熱気を排気します。

換気塔屋.JPG

越屋根正面

 棟換気.JPG

西面、現在、2階はリホームし蚕屋から、部屋になってます。

kakisibu02.jpg

別の建物ですが、内部からハイサイド窓

越屋根の窓の雰囲気は理解できると思います。

草屋根.JPG 

また、別の建物ですが、藁葺屋根。

断熱効果は抜群ですが、メンテや防火性がやっぱり、劣る。

実は私が小学校1年まで、実家は藁葺屋根でした。

かすかに記憶があります。

 

塔屋_0118.JPG

弊社で設計した2001年築の「搭屋のある家」(群馬県太田市)

コストがなく、外壁率を少なくするため、ほぼ正方形にした。

その欠点対策として、中央部の採光、換気のため、搭屋(越屋根)を設置しました。

近所の民家を意識して設計した訳ではないのですが、

時は違えど、合理的な考え方で行きつく所は同じでした

この頃は中気密でしたが、雲杉建具枠やの床の無垢材柿渋を塗ってました。

10年も過ぎ、桐は今でも暖かく、抗菌性防水性のある柿渋はいい味出してます

屏風ヶ浦天窓300.jpg

2012年2月、今ちょうど引き渡しの「屏風ヶ浦の家」横浜市磯子区

3層階段吹き抜けの「トップライト」です。

南の風を受け、北の緑の滲み出しによる涼風を受け、

温度差換気で、このトップライトから、排気します。

ただ、このトップライト、高めの勾配北側とは言え、日射の流入は凄い。

本当はハイサイドがベスト

 

この下に地植えの植栽を計画してましたが、狭さと採光の関係で

エアプランツに変更となりました。残念!

ちなみに、次世代省エネ基準でエコポイントを貰います。

屏風ヶ浦LDK西300.jpg

「屏風ヶ浦の家」2階リビングダイニングキッチンです。

左の窓が縦滑りです。突き出して涼風を得ます。

中央は吹き抜け廻り階段、ここから、トップライトで温度差換気します。

 

右の檜3方無節7寸角大黒柱の背割りは無垢材の証拠です。

 

今、戦後、定着した30年程度で壊して造り直す「大量消費大量廃棄」の「フロー」の時代から脱却し、「ストック」の時代へ変化してます。 

先人の知恵と近年の技術を融合し、

かつて、「田の字+土間」と言う間取りで、何代にも 渡って住んできたように

現在の長期優良住宅で、何代も、ライフスタイルの変化に合わせる。

これからは、可変し住み続ける住宅が「地球にやさしい」、と思う。

 

エアコンのいらない家.JPG 

エアコンのいらない家 [単行本]

山田浩幸 (著)エクスナレッジ 

http://www2.odn.ne.jp/ymo/NoAirCH-20110630.pdf#search='エアコンのいらない家'

<関連ブログ>

エアコンいらずの家:冬の結露を防ぐ。

http://plaza.rakuten.co.jp/colpisos/diary/201201230000/

エアコンいらずの家:冬の陽光を享受する。

http://plaza.rakuten.co.jp/colpisos/diary/201201160000/

このコラムに類似したコラム

【住宅の安全性能を考える】-3 西島 正樹 - 建築家(2013/09/12 19:05)

【シックハウスケアの住宅】-2 西島 正樹 - 建築家(2013/08/09 20:14)

快適なすまいづくりのポイント 青沼 理 - 建築家(2013/03/20 16:05)

室内環境5 村上 治彦 - 建築家(2012/01/31 13:00)

今月の専門誌(建築士会) 齋藤 進一 - 建築家(2021/01/22 01:24)