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米国改正特許法逐条解説 (第6回)
~第3回 2011年改正法の要点~
河野特許事務所 2012年3月28日 執筆者:弁理士 河野 英仁
7. 特許発行の制限(AIAセクション33)
(1)人体組織の特許性
人体組織(human organism)を対象とする、または、包含するクレームについては特許されない(AIAセクション33(a))。人体組織については特許付与の対象外としたものである。
(2)施行時期
2011年9月16日即日施行される。従って、参考図6に示すように2011年9月16日以降に出願または係属している特許出願に対して適用される。ただし、2011年9月16日以前に既に成立している特許に対しては適用されない(AIAセクション33(b))。
参考図6
改正法 |
AIAセクション33 特許発行の制限 (a)制限-他の法律の規定にかかわらず、人体組織human organismを対象とする、または、包含するクレームは特許されない。 (b)有効日- (1)概説-サブセクション(a)はAIA施行日以降に係属または出願された特許出願に適用するものとする。 (2)先出願-サブセクション(a)はパラグラフ(1)が適用されない出願について発行された特許の有効性に影響を与えない。 |
8. マイクロ団体(Micro Entity)(AIAセクション9)
(1)改正の趣旨
小規模団体(Small Entity)は、小規模団体陳述書を提出することにより、庁手数料が半額となる。
しかしながら、この小規模団体における小企業は従業員数が500人未満の企業が対象となるところ、さらに規模の小さい企業にとっては依然として庁費用負担が大きいという問題がった。
そこで、さらに小さなマイクロ団体(Micro Entity)という概念を新設し、庁手数料を75%offすることで費用負担の軽減を図り、ひいてはこれらの団体からの積極的な出願を促進することとしたものである。
(2)適用要件
以下の4条件を満たすことが必要とされる(123条(a))。
(i)規則1.27で定める小規模団体[1]の要件を具備すること。
(ii)出願人が過去の4を超える出願において発明者として記載されていないこと。ただし、他国への出願、米国特許法第111条(b)に基づく仮出願、またはPCT国際出願であって第41条(a)に基づく国内基本手数料(米国への国内移行費用41条(F))が支払われていないもの、は除かれる。
(iii)適用料金が支払われる年の前年の総所得額(1986年の内国税収入法典(Internal Revenue Code)第61条(a)の規定による)が、国勢調査局の報告による最新の平均家計所得(median household income)の3倍を超えていないこと、かつ、
(iv)出願人が、関与する出願の実施権または他の所有権を、適用料金が支払われている年の前年の総所得額が国勢調査局の報告による最新の平均家計所得の3倍を超える団体に、譲渡もしくは許諾していないこと、または契約もしくは法律により譲渡もしくは許諾する義務がないこと。
(3)適用の効果
出願、調査、審査、発行、審判請求、及び、特許出願・特許維持に関する費用について75%減額される(AIAセクション9(b))。
(4)施行時期
サイン日である2011年9月16日より即日施行された(AIAセクション9(i)(1))。
改正法 |
第123条 マイクロ団体 (a) 概説-本法において、「マイクロ団体」とは、以下の条件に当てはまると証明できる出願人を意味する。 (1) 長官が発令する規則で定められる小規模団体の要件を具備すること。 (2) 出願人が過去の4を超える出願において発明者として記載されていないこと、ただし、他国への出願、米国特許法第111条(b)に基づく仮出願、または第351条(a)に規定される協定に基づく国際出願であって第41条(a)に基づく国内基本手数料が支払われていないもの、を除く。 (3) 適用料金が支払われる年の前年の総所得額(1986年の内国税収入法典(Internal Revenue Code)第61条(a)の規定による)が、国勢調査局の報告による最新の平均家計所得(median household income)の3倍を超えていないこと、かつ、 (4) 出願人が、関与する出願の実施権または他の所有権を、適用料金が支払われている年の前年の総所得額(1986年の内国税収入法典第61条(a)の規定による)が国勢調査局の報告による最新の平均家計所得(median household income)の3倍を超える団体に、譲渡もしくは許諾していないこと、または契約もしくは法律により譲渡もしくは許諾する義務がないこと (b) (中略) |
以上
[1] 小規模団体とは規則1.27に定義される団体であり、個人、小企業、非営利団体をいう。例えば小企業は従業員が500人未満の企業である。小規模団体として手数料の減額を希望する場合、小規模団体陳述書を提出する。
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