事業承継とM&A(株式譲渡) - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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閲覧数順 2017年10月20日更新

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事業承継とM&A(株式譲渡)

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第2 会社の全部を譲渡する場合

1 株式譲渡

(1)M&Aのスキームとしての株式譲渡

 株式譲渡とは,売り手企業の株式を会社を買い受ける相手方に譲渡することをいいます。

 株式には議決権があるのが原則であり(会社法105条1項3号),株主総会において,この議決権で会社に関するもっとも基本的で重要な事項を決定します(会社法295条1項参照)。

 所有と経営が分離されている株式会社では(会社法326条1項,331条2項参照),取締役が意思決定や業務執行を行いますが(会社法348条1項2項3項),その取締役を選任・解任するのは株式の議決権によるため(会社法329条1項,339条1項),結局は株式さえ有していれば,その会社を支配できます。

 そこで,会社の支配権(経営権)の譲渡の方法として,その会社の株式を譲渡する,という方法が考えられます。中小企業のM&Aのスキームとしての中核を担うのが,この株式譲渡です。

 売り手企業の発行済株式の100%を相手方に譲渡してしまうのが一般的ですが,議決権の3分の2以上を保有していれば,特別決議(会社法309条2項)もすることができ,その会社に関するほとんどの事項を決定できるので,それだけの譲渡でも足りるといえます。

(2)手続

 株式譲渡の方法としては,その売り手企業が従来から発行している株式を取得するという方法,売り手企業が新たに株式を発行して相手方がこれを引き受けるという方法,株式そのものではなく新株予約権を相手方に発行するという方法があります。2番目の募集株式の第三者割当て,3番目の新株予約権の発行,については,第3部 会社法編に記述していますので,以下,1番目の既発行株式の譲渡について説明します。

売り手企業が非上場会社・非公開会社である場合には,その株式を有する人数は少ないはずです。この場合は,それぞれの株主から株式を譲り受ければ足ります。これを1対1の株式取引であることから,相対(あいたい)取引といいます。

株式譲渡契約を締結し,株券発行会社においては株券の交付を行い(会社法128条1項本文),会社に対して株主名簿の書き換えを請求して,手続が終了します。

ただし,非公開会社である場合には,株式の譲渡について会社の承認が必要になります(会社法139条)。

なお,前述したとおり,平成18年の会社法制定前の株式会社で定款に株券を発行しない旨の定めがない場合には,株券発行会社である旨の定款の定めがあるものとみなされ(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律76条4項),株券発行会社である旨の登記がされます(同法136条12項3号)。

 したがって,平成18年の会社法制定前に設立された株式会社は,定款で株券の発行を定めていない場合でも株券発行会社となっている場合があります。

(3)メリット・デメリット

 株式譲渡は,株主が入れ替わるにすぎず,合併とは異なり,売り手企業が消滅することがありません。既存の売り手企業は存続するわけですから,従来から得ていた事業に関する免許などを改めて取り直す必要がありません。

また,売り手企業の雇用関係もそのままです。

さらに,既発行株式の譲渡は株主間の単なる取引行為ですから,前述の通り,株主総会決議や会社債権者手続も不要です(ただし,非公開会社である場合には,株式譲渡についての会社の承認(会社法139条)として,株主総会決議や取締役会決議が必要となる場合があります。)。このように手続は簡便であり,これが株式譲渡によることのメリットと言えます。

 他方,株式が複数の株主に分散している場合には,個々の株主との株式売買の交渉をして契約を結ぶことは煩雑です。また,買い手としては,当該会社の新株主となるため,当該会社の簿外債務や偶発債務をそのまま引き受けるという危険性があります。そこで,売買契約において表明・保証条項を設ける等の手当てをするとよいでしょう。表明・保証条項については,第2章において説明します。

 

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