実はこれ、労使ともに知っておきたい労働社会保険諸法令が数多く詰まっているだけではなく、日本という国が置かれている現状やどういった方向へ国が動いているのかを推察することができる、いわば情報の宝庫なのです。
給与明細書は大きく分けて、「支給項目」、「控除項目」、「勤怠項目」という3つのカテゴリーに分類されます。
支給項目は、基本給や家族手当、通勤手当といった諸手当など、いわゆる労働の対償として会社から支給される賃金のことです。支給項目からは会社の実情を把握できます。いわば「会社を見る窓」。
控除項目は、総支給額からいわゆる「天引き」されるものです。例えば今話題の「厚生年金保険料」は強制的に控除されていますが、どのように保険料額が決定されどのように年金額に反映されるのか、またそもそも公的年金制度とはどのような仕組みのもので、現在何が問題とされているのか、についてもキチンと理解を深めておきたいものです。いわば「社会を見る窓」。
勤怠項目は、出勤日数や労働時間、年次有給休暇の取得日数などといった勤務実績のことをいいます。勤怠は就業規則等で規定された労働条件によるところが大きいので、労使間の権利と義務を巡ってトラブルになることも少なくありません。いわば「自分を映す鏡」。
このように「給与明細書」を目を皿にして眺めてみると、法的見地から国が一体何をフォーカスし、どんなベクトルで舵取りをしているのかが見えてくるわけです。今後、毎回ひとつずつテーマを取り上げて、その意義を紐解いていくこととします。