ほんとに今年はよう降った・・! - 新築工事・施工全般 - 専門家プロファイル

杉浦 繁
Atelier繁建築設計事務所 代表
愛知県
建築家

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閲覧数順 2024年04月24日更新

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ほんとに今年はよう降った・・!

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【 このコラムはブログ記事をまとめた物です。詳しくはブログ「よもやま建築日記~家づくりの現場から~」をどうぞ。 】

 


今年の春・夏は本当に雨が多かった!

 

毎週毎週、休みのたびにみーんな雨!

れも豪雨!

 

釣りに行けない・・

やっと行っても川は濁流・・

何度あきらめて温泉入って帰ってきたことか?

そんなことは、いいのですが・・

 

雨だと現場が止まってしまいます。

 

困るのです。

 

工程が遅れる・・

完成が遅れる・・

お客さんが困る・・

 

雨で足が滑ります。

雨が貯まって敷地は池に。

外はどろどろ、その泥が建物の中に入ります。

 

危なくって工事など出来ない・・

 

そして、それ以上に・・

雨が建物の中まで濡らしてしまいます。

工事中の建物は、濡れて良い所といけない所があるのです。

いけない所が濡れたときは、乾かさなければなりません。

 

そう、工事がべた遅れ・・


ただ、何があっても絶対にいけないのは・・

いくら間に合わないからといって、雨の中で無理矢理工事を進めること。

 

危険な現場で職人さん達の安全をないがしろにしたりしてはいけません。

そして、それより何より、濡らしたまま工事を進めて・・

建物の性能を落とすようなことがあっては絶対にいけません。

 

ですから・・

わかって下さいお客さん。

 

 

 
高低差のある敷地の場合・・

どんな建て方や工法を取ったとしても、一時的に敷地の中に崖が出来てしまうことがあります。

 

たとえば、擁壁で敷地に段差をつけるときや、建物が段々になっている時・・

擁壁や建物の基礎を作るためにいったん土を掘らなければなりません。

これを掘削(くっさく)と言うのですが・・

 

高低差がない敷地でも基礎の深さは掘らなければなりません。

これが、高低差が大きいとその高さ分掘る、何メートルもの崖が一時的にそこに出現します。

 

大きな建物や深く掘らなければならない時などは、土が崩れたり倒れたりしてこないように鉄骨の柱のような物を地面に打ち込んで板をはめ込んで壁を作り土を止めます。

これを矢板といいます、まあ工法はいろいろあるのですが・・

 

ただ、これには大変お金がかかります。

この土を止める壁を作るだけのために杭打ち機を持ってこなければなりません・・

住宅などではあまりにも現実的でないのです。

 

そこで、住宅など小さな建物の場合は出来うる限り崩れないよう崖を基準内の斜度などにして締め固めて工事を進めることが多いのです。

 

そんな時に大雨・・

 

何が怖いってあなた・・

現場でこれほど怖い物はない。

 

理屈上では崩れないはず・・

と、思ってはいても、そこはそれ、ただでさえびっくりするような巨大な崖があるわけで・・

 


崖の下は当然大穴があいていますから・・


そこには泳げるんじゃない?なんておもうくらいのプールが出来てしまうのです。

ああ怖い!

 

 

 

 

 


とある昔のちょっとした現場で、こんなことがありました。

 

一番降って欲しくない時の大雨! 

なんでこんな時期にこうも降る? 

まさに、今年の夏のような雨だったんです。

 

現場には見上げるような掘削した崖!

 

私は絶対近づきません!

なんてことは言ってられんのです。

 

怖いよう・・

でも配筋検査だよう・・

崩れてきて埋まったら死んじゃうよう・・

 


そんな時に、大雨!

メッチャクチャに降る!

やっとやんだと思っても、数日後にまた降る!

 

雨の日、現場監督にすぐ電話・・

「しっかり養生して崩れんようにね!」

「わかってます、私ずっとついてますんで!」

 

大雨だと工事が出来ないので職人さんは来ません、現場事務所には監督さんだけです。

大変だとは思いますが、よろしく!

 

数日後、やっと雨はやみ、現場には排水ポンプが持ち込まれます。

 

だって・・

崖の下の穴は泳げるんじゃないの?ってぐらいのプールです!

このくそ暑い夏・・

泳げるもんなら本当に泳ぎたいくらい。

 

ただ、中には配筋や型枠がありますから、誰か落ちたりしたら大変ですから・・

そもそもこれでは工事できない。

どんどん排水!

 


すると・・

何だか残念そうな犬の散歩の人が恨めしそうに見ているじゃあありませんか・・

何だろう???

 

「せんせい・・」

何?

「昨日、ここで犬が泳いでたんですよ・・」

「暑かったんでしょうね」 

?????

 

 

 


そんな現場のプールから水をどんどん排水します。

その翌日・・

 
まあーた雨です!

 
おいおい!

お願いしますよ・・

 
ようやく雨がやんで・・

すぐに排水!

 


すると、また雨が降る!

 
何度も何度も繰り返す。

いやんなってくる・・

まあ、いやになるのは現場の人で私じゃあありませんが。

 


そのうちに・・

当然のように、池に土が流れ出します。

だってプールがあるのですから。

崖が崩れ出す・・

 

斜面は養生したり出来ますが、基礎部分のプールはそんなことは出来ません。

崖の下がえぐれてきています。

 

マジかよ!

はよ排水せんか!

皆々焦ります。

 

排水排水!

雨雨・・

排水排水!

雨雨・・

 

監督は必死です。

毎日毎日雨・・

でも、こうなったら排水しないわけにはいかない。

雨の中排水!

やっとやんでも翌日また降る。

いったいいつまで繰り返す?

 

工事は進むどころかプールの中の配筋も何もみんな流れ出た土に埋まってしまっていますから・・

どんどん後退です。

 

工事しようにも、排水後の堀方の土砂を出したら次の雨・・

 
お願いですからもう降らないでください!

あとは、神頼みしかありません。

 

冗談ではなく・・

あのときは本当にどうなることかと思いましたよ・・

 

ま・・

結局、雨はいつかはやむのですが・・

 

 

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