ファイナンシャルプランナーが天職!
BYSプランニングの釜口です。
今回は大手生保の保険に特約で付加されている著しく支払条件が
厳しい「重度慢性疾患保障特約」についてお伝えします。
重度の慢性疾患は全部で5つ。
a.重度の糖尿病
b.重度の高血圧症
c.慢性腎不全による人工透析
d.肝硬変
e.慢性膵炎
以上の状態に該当し、医師による治療を受けたときに,
一時金として「重度慢性疾患給付金」が受け取れます。
またこの特約は、死亡時・高度障害に該当した時には
「死亡・高度障害保険金」も支払われます。
「重度慢性疾患給付金」と「死亡・高度障害保険金」の金額は同額で、
給付金が支払われると契約は消滅します。
5つの疾患に該当すれば給付金が受け取れ、
死亡時にも保険金が受け取れるのであれば、
なかなか良い特約であると思ってしまいますが、
じっくり約款(保険の取説)を読めば、
この特約は加入する価値がない特約だと分かります。
では、なぜ加入する価値がない特約なのか?
a~eまでの各疾患の中で、日本人が罹りやすい疾患に絞って
支払い条件を見ていきましょう。
aの「重度の糖尿病」ですが、約款を要約しますと、
イ:インスリン治療を6ヶ月以上継続したと医師によって診断された。
ロ:眼の増殖性糖尿病網膜症に該当した。
ハ:心臓障害の治療目的のために体内用ペースメーカー埋込術を受けた。
ニ:下肢に壊疽(えそ)が生じ、その治療を目的として1足指以上の
切断術を受けた。
という内容です。
かなりひどい状態にならないと給付を受けることはできません。
私のお客様で「糖尿病」と言われて、食事療法を受けておられる方もおられますが、
「重度慢性疾患保障特約」の支払条件に該当するまでには程遠いわけです。
次にbの「重度の高血圧症」ですが、約款を要約すると、
イ:眼底所見における「シェイエ分類」において3度または4度に該当したと
医師によって診断された。
※シェイエ分類3度または4度・・・網膜面に出血と白斑があらわれたり、
様々な乳頭浮腫があらわれたりする状態
ロ:心臓の障害の治療目的のために体内用ペースメーカー埋込術を受けた。
という内容です。
「高血圧症」と言われて入院したとしても、上記に該当しなければ、
給付金は受けることができないのです。
cの「人工透析」を受ければ無条件に給付は受けれますが、
人工透析に関しては国からの援助金がありますので、
透析患者の自己負担は1ヶ月上限1万円程度ですみます。
人工透析に関しては医療保険に加入していれば充分だと言えます。
肝硬変や慢性膵炎に関しても、かなり厳しい診断基準が設けられています。
結局は、日本人が罹る心配が一番ありそうな病気に対して保障します
と謳っておけば、心配性な日本人はおもわず加入してしまうであろうというのが
保険会社の戦略です。
保険会社と保険募集人だけが潤うだけの特約に加入するのは
やめてくださいね!
ご質問やご不明な点がありましたら、
お気軽にご連絡下さい。
メール:waku@bys-planning.com
Tel:06-4305-4425
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