- 海田 修平
- カイダ建築設計事務所 一級建築士事務所
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
この問いは、半世紀以上前に清家清さんによって問われました。
あまりに機能的で先鋭的あったため、日本の住宅に広く浸透する結果にはなりませんでしたが、
私も最近、やっぱり玄関は必要ないのではないかと思い始めています。
昔の農家のようなつくりの住宅では、立派な玄関があっても、
近所の人たちはいきなり縁側に顔を出して、大きな声で家の人を呼んでいました。
近隣との付き合いが稀薄になってしまった現在ではあまり見られない光景かもしれませんが、
機能的にはこれで十分なので、立派な玄関は必要ないということになります。
立派な玄関が家の風格を表していて、玄関を広くするというのがステイタスである。
玄関はオフィシャルに人を迎える場所で、家に出入りする時の準備の場所である。
などなど玄関の必要性についてもっともな理由はいくつでも上げられます。
しかし、それでもやっぱり必要ないように思えるのは、
玄関に特別な価値を与えているからではないでしょうか。
機能的であること以上の価値をです。そこに無駄があるように思うのです。
玄関にあるものを考えてみると、下足入れや物入れ、
鍵を置いたり物を飾ったりする場所、コート掛けや帽子掛けくらいだと思います。
これらを冷静に考えると、玄関は家を演出するコーナーを設けた収納部屋にすぎないと思います。
現在の住宅は収納部屋から出入りしていると考えると、もっと素敵な出入りの方法が他にあるように思います。
庭やテラスから出入りしたり、車庫が大きな玄関だと考えることもできます。
階段室が出入口というも素敵になり得ます。
玄関が必要かどうかという問いは、玄関という固定された概念が必要かどうかという問いなのです。
玄関という概念は全く無用で必要ありません。家に入る場所や方法はもっと自由であるべきだと思います。
素敵な出入りの方法を見つけることが素敵な家につながると思います。
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