相続のお悩みというのは、意図せずやってくるものです。
身近な相続の悩みに関連する法律知識を紹介したり、トラブル回避の方法についてご紹介するコラムを始めます。
第1回は、「子供がいない夫婦の相続と遺言」をテーマにします。
以下のような例で考えてみましょう。
夫Aさん(75歳)、妻Bさん(67歳)。
2人は結婚して40年になる夫婦ですが、子供はいません。
20年前に買ったAさん名義のマンションに2人で仲良く暮らしていました。
ある日突然Aさんが亡くなりました。
Aさんが遺した財産はAさん名義のマンションと預金です。
Bさんはそのままマンションに住んで、預金と年金で安泰な余生を送ることができると思っていました。
ところがです。Aさんの両親はすでに亡くなっていますが、Aさんには弟Cさんがいました。
この場合、Aさんの相続人は、妻のBさんと弟のCさんになります。弟さんも相続人なのですね。
相続分はというと、Aさんが遺した財産につき
Bさんの相続分は4分の3
Cさんの相続分は4分の1
になります。
つまり、妻のBさんが全財産を相続することはできないのです。
Cさんは、最近商売に失敗していて財産を失っており、お嫁さんが特にこの相続に目をつけて、
自分もマンションに住みたいと言ったり、家賃をよこせと言ったり、
はたまた、自分のマンションの持分を買い取れと言ったり…。
Bさんは困ってしまいました。
これはお子さんがいない夫婦の場合に、どこにでも起こり得ることです。
どうしたらよかったのか?
Aさんが「妻のBさんに全財産を相続させる」という遺言をしてくれていたら、Bさんが全財産を取得できたのに…。
このように、子供がいない夫婦の場合、遺言がとても大切になってきます
遺言は「老いた妻(夫)への感謝状」と言われます。
自分の死後の妻(夫)の生活を守るため、感謝の気持ちをこめて、遺言を作成しておきましょう。
次回は内縁の妻と相続の問題です!!
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