
- 河野 英仁
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対象:特許・商標・著作権
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米国特許判例紹介:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(9)(第2回)
~類似技術の範囲とは~
Innovention Toys, LLC,
Plaintiff Appellee,
v.
MGA Entertainment, Inc., et al.,
Defendants- Appellants.
河野特許事務所 2011年6月17日 執筆者:弁理士 河野 英仁
3.CAFCでの争点
争点:類似技術の範囲はどこまで及ぶか
被告が挙げた先行技術は以下の2つである。
(i)コンピュータベースのチェス風戦略ゲームを記述した2つの記事・・・レーザチェス及び進化レーザチェス(以下、先行技術1という)
(ii)物理的なレーザを用いたチェス風戦略ゲームU.S. Patent 5,145,182 (以下、先行技術2という)
先行技術1は“レーザチェス アタリSTプログラミングコンテスト 優勝賞金5千ドル”内の記事である。先行技術1は、仮想レーザ、鏡面及び非鏡面を有するコマを用いたチェス風コンピュータゲームを開示している。各コマは交互にチェス風仮想プレー面においてプレーヤにより移動または回転させられる。
各ゲームのゴールは、様々なゲームコマを用いて、敵の非鏡面王コマを、レーザビームを当てて排除すべく、レーザビームを操作することにある。レーザチェスにおいて、プレーヤの王コマは、プレー中マスを動く。王コマは、敵のコマのマス上を移動することにより、いかなる敵のコマをもとることができる。
先行技術2は、プレーヤが交互に鏡面ゲームコマをチェス風ゲーム板マスに置く物理的・電気的な戦略ゲームを開示している。図3は先行技術2のボードを示す斜視図である。
図 3 先行技術2のボードを示す斜視図
プレーヤは敵プレーヤの採点モジュールに対しレーザビームを照射し、これらを排除するために、コマを配置する。プレーヤは、ゲーム板の周りで屈折されるレーザビームが敵の採点モジュールにヒットした場合に点を得る。
242特許は物理的なレーザチェスゲームである点で、仮想空間上で実行されるコンピュータレーザチェスゲームである先行技術1とは相違する。このような先行技術1が類似技術の範囲内であればKSR最高裁判決の自明性判断基準に照らし自明と判断される。一方、非類似技術と判断されれば非自明と判断される。
本事件では、先行技術1が類似技術の範囲内に属するか否かが争点となった。
(第3回へ続く)
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