寄り添って生きる

先日、ふたりの友人から「検診で癌がみつかった」と連絡がありました。幸いふたりとも手術後に抗がん剤の治療をする必要もなく、今は定期健診をうけ るのみで通常の生活を送っています。ときどきお茶をすると、かならず彼女たちが声を揃えて言うことは「病気になったとき、初めて夫への不満が消えた気がす る」ということでした。
以前は既婚の友人が集まると夫の不満不平で盛り上がっていた私たち。今は不平不満を言い合うものの、最後には「でも、大切にしなきゃね」でまとまるようになりました。

■一緒に住むということ
恋人の時、確実に今の夫は世界一いい男でした。会話も相性もばっちり。お互いが思い合って譲り合って、支え合っていました。
でも、そんなカップルも一緒に生活を始めると約80%の人が「アレ？」って思ってしまうらしいです。20年も30年も違う生活習慣で過ごしてきたふたりが 一緒に住むのだから、お互いカルチャーショックの嵐になってしまうのでしょうね。寝転んでテレビを見る？？足でスイッチ入れた！？休日は夕方まで寝て る～？？お風呂入ってよぉぉぉ。どんどん不満が蓄積。
蓄積されていく不満はどうやったら解消できるでしょう？

■会話、触れ合い
恋人のときを思い出してください。触れ合いながら相手の汗が気になったら、「ねえ、お風呂入ってきて」って優しく言っていました。床にゴロゴロされるのイヤだったら「ねえ、こっちのソファで一緒にテレビ見よう」って笑顔で言えていました。
もともと会話のテンポや会話の運び方がぴったりだったから付き合いだしたわけだし、上手に会話すれば元恋人であった夫はすんなり貴女の希望をかなえてくれるのではないでしょうか。
『「もう遊ばない」って言うと「もう遊ばない」って言う』というCMの文句。こどもよりも大人にあてはまるんじゃないかなって思ってしまいます。「くさい から近寄らないで」「うるせえな」じゃなくて、「お風呂入ってきたらマッサージしようか」だったら相手がどんなふうにこたえてくれるでしょう。想像しただ けで楽しくなってしまいます。

■正のスパイラル

ある本に「性的にみたされない女性は夜にチョコを食べる」という記述がありました。この「性的」というのは決してセックスだけのことではありませ ん。触れ合うこと、思い合うこと、想いを分かち合うことなどなど、男女が一緒にいてきもちいいと思える瞬間をさしているのだと思います。
チョコを食べたときにほっとすることはないですか？チョコを食べたときに出されるホルモンは女性が愛されたときに出されるホルモンに似ているとか。
女性が性的にみたされたとき、幸せホルモンの放出⇒気持ちが優しくなる（ほっとする）⇒相手に優しくなれる⇒相手も優しくなる⇒もっと愛される⇒もっと優しくなる⇒もっと相手に優しくなれる・・・・という正のスパイラルが発生するのです。

私のふたりの友人は、病気になったことがきっかけでご主人が恋人のときのように優しくしてくれたそうです。また、あわてふためくご主人の姿をみて 「愛されているんだ」って確信したそうです。病気だからセックスはしなかったけれど、愛されている実感をもったことでこの正のスパイラルに入れたのかもし れませんね。
もちろん、イライラすることもあるし、生理前で気分が落ち込むこともあります。上記のように理想的な会話はできないかもしれないけれど、週に一回か10日 に一回でも相手を100%想って会話して行動してあげる瞬間があってもいいのかなって、友人二人をみていると思ってしまいます。

せっかく出会った「世界一かっこよかった」男性。これから寄り添って歩んでいく相手だから、会話して触れ合って正のスパイラルの中で一緒に時間を過 ごしていきたいものです。そして幸せホルモンいっぱいの貴女は夫が心配してしまうくらい輝き続けることができるのではないでしょうか。

鍼灸師　草薙　久美子