- 水嶋 一途
- 一途総合法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
-
03-3470-3311
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
首都圏の1都8県で14日から計画停電が実施されていますが、実施の有無や時間帯、地域などが直前まで分からないなど、家庭生活はもちろん企業活動にも大きな混乱が生じています。
特に企業活動では停電により休業を余儀なくされた場合に、会社は従業員の休業手当(賃金)を支払わなくてはならないのかについて、経営者はもちろん従業員の皆さんにとっても大きな関心事であると思います。
法律的には、労働基準法第26条により、「使用者(会社)の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者(会社)は、休業期間中、当該労働者(従業員)に、その平均賃金の100の60以上の手当を支払わなければならない」と定められています。
これまで、電力不足のによる休業の場合には、「原則として使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しないから休業手当を支払わなくとも違法ではない」という古い行政通達がありましたが、今回の計画停電での取扱について、厚生労働省から新たな通達が出されました。
詳しくは厚生労働省のサイトをご参照下さい。
(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/other/dl/110316a.pdf)
今回の通達の要旨は、
1.計画停電の時間帯に事業場に電力が供給されないことを理由とする休業の場合、原則として休業手当の支払義務はない。
2.計画停電の時間帯以外の時間帯の休業の場合には原則として休業手当の支払義務がある。
3.計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて休業する場合の休業手当の支払義務の有無は、諸事情を総合的に勘案して判断する。
というものです。
したがって、「原則として、計画停電の実施時間帯の休業手当の支払義務はない」という考えが、行政(厚生労働省)の公式見解になります。
ただし、あくまで通達という行政が示した一つの法的見解ですので、紛争になった場合の後の司法の場において、その妥当性が担保されることまで保障するものではありません。
企業における具体的な運用にあたっては、厚生労働省の通達を基準にしつつも、個々の事情に応じて顧問弁護士などに相談しながら対応することをお勧めします。
このコラムの執筆専門家
- 水嶋 一途
- (東京都 / 弁護士)
- 一途総合法律事務所 弁護士
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