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対象:特許・商標・著作権
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米国特許判例紹介:ソフトウェア特許に対する権利侵害(第4回)
~ソフトウェアモジュールがロックされている場合に侵害が成立するか~
河野特許事務所 2011年3月22日 執筆者:弁理士 河野 英仁
Finjan, Inc.,
Plaintiff-Cross Appellant,
v.
Secure Computing Corporation, et al.,
Defendants Appellants.
3.CAFCでの争点
争点1:一部のソフトウェアモジュールがロックされている場合に、システムクレーム及び記録媒体クレームに対する直接侵害が成立するか否か。
クレームに係る事前スキャンを特徴とするソフトウェアモジュールのソースコードは製品中に含まれている。しかしながら、当該ソフトウェアモジュールがロックされており、ユーザが鍵を購入してロックを解除しない限り、実行することができない。
このような場合に、装置クレーム及び記録媒体クレームに対する直接侵害が成立するか否かが問題となった。
争点2:一部のソフトウェアモジュールがロックされている場合に、方法クレームに対する直接侵害が成立するか否か。
同様に、方法クレームに対して直接侵害が成立するか否かも問題となった。
4.CAFCの判断
争点1:販売時に機能がロックされていたとしてもシステムクレーム及び記録媒体クレームについて直接侵害が成立する。
CAFCは販売時に事前スキャンモジュールがロックされていたとしても、被告製品自体には当該モジュールが備わっているから、システムクレーム及び記録媒体クレームに対する直接侵害が成立すると結論づけた。
被告は以下の2つの事件を挙げ、一部の機能がロックされている場合、直接侵害が成立しないと主張した。
(1)Southwest事件[1]
Southwest事件において特許発明は自動的に選択処理を行う点を特徴とする方法クレームであった。これに対し、イ号ソフトウェア製品は、自動選択処理を行うモジュールに加え、当該自動選択処理を避ける人手による選択をも含んでいた。CAFCは人手による選択を有することから、イ号ソフトウェア製品が自動選択処理を行うモジュールを含んでいても直接侵害は成立しないと判断した。
被告はSouthwest事件を引用し、本事件においても同様に直接侵害は成立しないと主張した。しかしながら、CAFCはSouthwest事件におけるクレームは方法クレームであり、システムクレーム及び記録媒体クレームについては同様に適用できないと述べた。方法クレームはクレームされたステップの動作(パフォーマンス)を要求し、直接侵害が成立するためには実際の動作が必要とされる。
これに対し、争点となるクレームは「システム」及び「記録媒体」クレームであり、これらカテゴリーのクレームはいかなる方法のステップの動作(パフォーマンス)を要求するものではないからである。
[1] Southwest Software, Inc. v. Harlequin Inc., 226 F.3d 1280, 1291 (Fed. Cir. 2000)
(第5回へ続く)
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