卵巣機能不全について

今回は私が治療を考える時参考にさせて頂いている本から抜粋させて頂きます。お会いしたことは有りませんが假野先生というドクターをとても尊敬しています。

子宮内膜の増殖、分泌、頸管粘液分泌などの子宮機能と卵管の機能は卵胞ホルモン、黄体ホルモンに制御されているため、卵巣機能不全に含まれる。
機能的卵巣機能不全の原因は下垂体からのゴナドトロピン分泌不全、ないしゴナドトロピンの卵巣への循環不全に帰結する。加えて、西洋医学的にはほとんど無視されているが、間接的卵巣機能の正常な維持に必要な材料、例えばステロイドホルモンの基質であるコレステロールなどの摂取、消化吸収不全も重要である。

ゴナドトロピン分泌不全の機能的原因としては、職場、家族などの人間関係を中心にした社会心理的因子から生ずる精神的ストレスが考えられる。不妊症の原因を心身医学的に解析すると、うつ病、仮面うつ病、心身症、心因性反応などがしんだんされることが少なくない。それらの病況に至っていないとしても、恐怖、怒り、悲しみなどの日常的な情動不安も十分に原因になる。いずれにしても、心身医学的要因は妊孕性を低下させ受胎を回避することにより、妊娠によって母胎にもたらす負担を未然に回避する母性保護のための自衛的生理反応と考えられる。現代において機能的不妊症が増加していることと性成熟期女性をめぐる社会文化的なストレスの増大と無関係ではない。著者の施設では、うつ病傾向ありと診断されるSRQ-D 16点以上の患者が卵巣機能不全不妊症患者の２０％を占めるに至っている。
ゴナドトロピン循環不全の原因に冷え性（骨盤内の循環不全）、低血圧、脱水が考えられる。エネルギー、基質の不足の原因としてはダイエット、偏食（健康食品に対するこだわり）、胃腸の不調などが考えられる。もちろん、以上の三因は相互に密に関連している。空腹時あるいはストレス時にプロラクチン分泌が増加して卵巣機能を抑制するのも、ゴナドトロピンの分泌不全と同様に母性保護のための受胎回避の自衛反応と理解される。ゴナドトロピンの分泌はプロラクチンによって負的に制御されているのである。

假野隆司先生　著　「不妊症不育症更年期障害の漢方」

この他子宮機能不全、卵管機能不全、男性機能不全、不育症と続いていくのですがすべてに気・血・水という漢方による解釈が付記されていてはり・きゅう治療に応用させて頂いています。

本当はこれもすばらしいあとがきをここに写したいのですが時間がかかるのでまた今度に。

ｓｅｋｉｍｕｒａ鍼灸院