- 近藤 壯一郎
- 台所計画工房 キッチンスペシャリスト
- 神奈川県
- リフォームコーディネーター
新築やリフォームでキッチン作りをする時、日本ではユーザーがキッチンのプロにデザインしてもらうというスタイルはなじみが薄く(そのようなプロもほとんどいませんが)、どちらかというと工務店やハウスメーカーから「システムキッチン」を「買う」というスタイルが圧倒的に多くなっています。
これは「キッチンメーカー」→「問屋・代理店」→「ハウスメーカー・工務店」→「消費者」という日本独特の商品流通の形態があるためで、「キッチンメーカー」はこの流通のルートに乗せやすい「商品」=「既製品」を中心に製造しているということから起きていることなのです。
ところが、アメリカではユーザーがキッチンを新しくしたいと思ったらキッチンをデザインしてくれる人(会社)を探すところから始まります。
というのは、アメリカには日本の「システムキッチン」のようなあらかじめパッケージ化された商品としての「キッチン」がないからです。
あるのは、キャビネット、カウンタートップ、ビルトイン機器、アクセサリーといったキッチンを構成するのに必要な個々の部材のみ。
キッチンを作るには、「システムキッチン」のカタログから気に入ったセット物を「これ!」と言って選ぶのではなく、スペースやユーザーの要望に合わせてプランニングし、デザインや色を決め、使用する部材(キャビネット、ワークトップ、機器など)をそれぞれ手配するという作業をしなければなりません。
それぞれの部材が市場に出ているので、ユーザー自身が自分でその作業をすることもできないことではないのですが、難しいし大変なことなのでキッチン作りのプロが存在するわけです。
それはどういう人たちかというと、
「独立した個人のキッチンデザイナー」
「キッチンデザイン会社(事務所)」
「地域のキッチンショップ(ディーラー)」
「キャビネットメーカーのショールーム」
「建築設計士」
「インテリアデザイナー」
ということになります。ユーザーはこの中のどこかにキッチン作りを頼み、プロと一緒になって夢を実現させるわけですね。
そして、デザインと製品の購入は分けて考えられます。キッチンを設計してもらうにはデザイン料を支払うということが当たり前になっているのです。
このようなスタイル(やり方)のおかげで、ユーザー、デザイナー、部材メーカー、それぞれの立場や責任が明確になり、難しいキッチン作りがスムーズに進むということなのでしょう(ユーザー主導型のキッチン作りができるということ)。
一方、残念ながら、日本にはこのような「キッチン作りのプロ」と呼べる人があまりにも少なすぎると思うし、キッチンを「住設機器」としか考えていない業界にも問題があるのかもしれません。
私はこのやり方を日本でも取り入れたいと思い、孤軍奮闘、約20年も前から細々とですが、実践をしてきています。
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