・2012年に税制適格退職年金が廃止されるのはなぜ? - 人事評価・賃金精度 - 専門家プロファイル

佐々木 泰志
ネクストコンサルティングオフィス 代表
東京都
社会保険労務士

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対象:人事労務・組織

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・2012年に税制適格退職年金が廃止されるのはなぜ?

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税制適格退職年金は、企業の退職金負担を軽減するために、その掛け金を全額損金にできるように税制上の優遇を受けられる制度としてスタートしました。前述した年金各法が労働環境の整備を所管する厚生労働省が担当しているのとことなり、税制として財務省が担当しています。

主には大企業向けである厚生年金基金では、事業主と社員で掛金を折半に負担しているのと比較して、税制適格退職年金は保険料全額を事業主負担としているところが、中小企業の給与水準を考慮して導入しやすく工夫されているところと言えます。

このようにシンプル制度のため生命保険会社や信託銀行がこれにマッチする商品を開発・販売して退職金制度の普及に大きく貢献しました。保険料の社員負担がないため、事業主の判断で加入に至ったケースも多数あると思われます。

しかし、バブル崩壊以降運用環境が大きく悪化して、制度上は給付の減額を原則禁止していながら積み立て不足を一括償却できないなど受給権の保護が十分ではないことが、明らかになってきました。このため、確定給付企業年金法など新しい年金制度を整備して、平成14年4月以降新規契約できなくなり、平成24年3月で制度そのものを廃止することになりました。適年の制度廃止以降は、掛金に対する非課税措置は廃止となり課税されることとなります。退職金制度そのものを廃止した場合、還付金は事業主には返還されず、社員に振り込まれます。社員への還付金は、一時所得となり、退職所得としての税制上の優遇措置は受けられません。制度と資金準備、税制を踏まえて判断することとなります。

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