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坂本 俊輔
株式会社サイワークス 執行役員副社長
ITコンサルタント

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閲覧数順 2024年04月25日更新

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ITサービスのサービスレベルについて

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システム調達のノウハウ

現在当社にて使用しているグループウェアのASPサービスにおいて、ここ数カ月、毎週月曜日の朝に、レスポンス低下やアクセス不可といった障害が繰り返し発生しています。

 

理由としては、「ユーザ数の増加に伴い、アクセス数が増えているため」ということで公表されており、現在IT設備の増強を進めているようですが、こういう事例は、ITサービスの提供者として非常によくないですね。

 

ASPは、ITサービス提供者がITの初期投資を行い、ユーザに月々の課金を支払ってのもらうことによって、初期投資を回収し、利益を上げるものですから、IT設備への追加投資はなるべくしたくない、という気持ちはわかります。

ですが、サービスに対してお金をもらっているわけですから、サービスが正常提供できなくなるリスクは、徹底的に避けなければなりません。

 

グループウェアは、朝一にアクセスが集中することがわかりきった、わかりやすいサービスですので、定期的に性能測定をしておけば、このように問題が顕在化することは防げるはずなのですが。。

顕在化すれば、結局IT設備増強という意思決定をせざるを得ないのですから、先手を打って意思決定をすればよいのですが、契約条件にサービスレベルを守れなかった場合のペナルティが明確になっていないので、結局甘えや意思決定の遅れが発生するのでしょう。

 

最近のクラウドブームに至るまで、ASP、SaaSなど、いろいろな言葉で流行ってきましたが、提供者側がIT設備を保有し、利用者はサービスのみ利用する、という意味ではどれも同じことです。

サービス利用者としては、契約するサービスのサービスレベルをよく意識しておく必要があります。

グループウェアぐらいであれば、半日程度停止したところで、影響の度合いはたかが知れていますが、重要な業務システムやお客様向けのWebサービスが止まってしまうようなことがあれば、影響は甚大です。

 

日本では、サービスレベルとペナルティをあらかじめ定めるSLA(Service Level Agreement)の導入は、どちらかというと遅れ気味です。米国のサービスでは、SLAが厳密に定義されていることが多いです。訴訟文化の違いによるものでしょうか?

 

ただし、米国のSLAは、日本人の感覚からすると、違和感を覚えることも多いはずです。

例えば、「99.5%以上の動作保証をする」「それ以下になった場合は、利用料の一部返還を行う」という規則を作っていることがよくありますが、逆に言うと、「0.5%停止したことによって、何か問題が起きても知りません!」と言っていることに等しいのです。

 

厳密なルールを決めずに、「問題が起きたときに、互いに誠意をもって協議しましょう」というスタンスでやっている日本的な取引とは、少々そぐわない部分があります。

サービスレベルが不安で、クラウド化を見送っている、という企業のアンケート結果もよく出てきます。

 

クラウドサービスに関しては、日本でも、Google、Amazon、Salesforce.comといった米国大手企業が広くサービス提供しています。日本企業も追随すべく、サービス開発をしておりますが、日本企業の攻めどころは、ひょっとすると、サービスそのものだけでなく、日本の商習慣にあったSLAの研究開発にあるかもしれません。

 

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