- 森岡 篤
- 有限会社パルティータ 代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
姉歯の構造計算書偽造事件で、建築士の信頼は大きくゆらぎました。
偽造は姉歯一人だけかと思いきや、姉歯のような悪意はないにしろ、偽造は他にも見つかりました。
新耐震基準以来の、それ以上の、建築士制定以来最大の大変革です。
今まで、性善説で扱われていたものが性悪説に変わります。
事件発覚以来、基準法改正に向けさまざまな案が出され、二転三転し、現内容となりました。
構造に関しては、一定規模以上は、ダブルチェックとなる他、確認・検査が厳格化されます。
設計図書の不整合や不備を認めないとしています。
これまでは、確認審査で指摘があったものは、書き込んだり、図書を差し替えたりしてきましたが、書き込みも差し替えも認めないというのです。
法施行は6月20日、あと3週間もありません。
6月20日確認受付分からでなく、着工ということなので、既に改正されていると言えます。
仮に完璧にミスのない設計図書を提出したとしても、見解の相違で修正が必要なこともあります。
だからこそ、審査があるわけです。
構造でいつからダブルチェックが必要となるかについては発表されているのですが、図書修正を認めないとは、どういうことなのか、提出前の事前チェックで事実上審査を終わらせるのか、そのような具体的なことが、今週時点で何も決まっていません。
区役所審査担当者も民間審査機関も答えることができない状況です。
法が切り替わり、しばらく実例を経験すれば、最適化されそれなりの方法が見つかるでしょうが、施工直後はかなりの混乱が予想されます。
住宅の場合、本来確認申請に大して時間がかからないはずなのですが、これから確認申請を出す方は、注意が必要です。