
- 森岡 篤
- 有限会社パルティータ 代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
現在に構造設計の基本方針は、
・頻度の多い中小地震に対し、無被害であること
・建物一生に一度遭遇するかどうかの大地震(震度7クラス)に対し、崩壊しないこと
これは、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造どれも共通です。
一方、構造設計は、簡略な設計法と精密な設計法があります。
通常2階建て木造で行っているのは、壁量検討を中心とする簡略なもので、3階建てでは、構造設計を使っています。
鉄筋コンクリートでは、ルートという考え方があり、壁が多く、耐震的に余裕がある建物は簡略な設計法(ルート1)、精密に設計する場合はルートが高くなります(ルート3)。
構造設計とは、地震力(荷重)と建築構造物の耐力を、仮定の積み重ねで数値化し、シミュレーションするものです。
地震力のモデル化はものすごく難しく、場所によって地盤が変わるので、同じ耐力の構造物が、震源地からの距離が同じでも、片方だけが被害を受ける可能性があります。
簡略か精密化というのは、構造物耐力をどのように数値化するか、の話です。
精密な設計法は、構造物の耐力モデル化の精度が、良く、簡略な設計法では、ギリギリかもしれないし、大きな余力があるかもしれない、ということになります。
地震力は建物重量に比例するので、重量が大きな要素です。
木造の設計(壁量の検討)は、ものすごく大雑把で、建物の重さも実際の重さと関係なく、経験値で定められています。
木造設計規準で定められた建物重量の値が、実際の重量より小さい、という指摘があり、そうだとすると危険側になります。