住宅断熱基礎講座/内断熱の問題点 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

野平 史彦
株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
千葉県
建築家

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対象:住宅設計・構造

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住宅断熱基礎講座/内断熱の問題点

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住宅断熱基礎講座 03.高気密・高断熱住宅の誕生
03-11:内断熱の問題点

 さて、内断熱の問題点として上げておかなければならないのはやはり内部結露の問題です。

 日本の木造住宅の構造は一般的に在来軸組構造と呼ばれる柱と梁によって構成されるものですが、地震や風圧のような横からかかる力(水平力)によって建物が倒れないように柱間に「筋かい」という斜めの部材が入っています。

 グラスウールなどを柱間に挿入する内断熱工法では、この筋かいが邪魔になるので筋かいの代わりに構造用合板を柱梁間の外側に打ち付けて耐力壁を構成することで水平力に対処し、内断熱の施工をやりやすくする場合が多いのですが、この構造用合板は以外と湿気を通しにくい材料であるため、壁体内に侵入した湿気を通気層側に排出する妨げになってしまっているのです。

 従って、室内で発生した水蒸気を壁体内に侵入させないための気密施工の重要性は益々高いと言えるのですが、この内断熱を本州の蒸暑地域に持ってきた場合、夏の冷房時に懸念される「逆転結露」の問題があります。

 柱や梁などの木材は、いかに乾燥材を使っていたにしても15%程度の水分が含まれており、構造用合板も同程度の含水率を有しています。

 おまけに夏場の湿気がこうした木部材に吸収され、太陽の熱射で蒸し返され壁体内に放出されてしまいます。この湿気が冷房時に室内側の防湿シート面で冷やされ、結露が発生するというわけです。

 冬場の暖房時には外壁側で起こる結露が、夏場の冷房時には室内側で起こるわけで「夏型結露」とも言われています。

 この問題に対処するためには、特に蒸暑地域においては多少施工が面倒でも構造用合板を用いないで、従来の筋かいを用いてその間に丹念にグラスウールなどを充填していくことが夏型結露に対しては安全であると言えます。