- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
外断熱のデメリットとしては、工法上軸組の外側に断熱材を張り巡らし、その上に通気胴縁を釘打ちし、その通気胴縁に外壁材を留めてゆくので、 断熱材の厚みが増すと重い外壁材などを留めるのが難しくなる ということがまず上げられます。
そのため外断熱をする住宅では湿式のタイル貼りや塗り壁は敬遠され、もっぱら荷重負担の少ないサイディング張りの外壁仕様となっています。
また寒冷地においては決定的に断熱材の厚みが増してしまうので純粋な外断熱は採用されにくく、内断熱そのものを高性能化してゆく方向にあります。
また、屋根の断熱においては、内断熱では断熱材を梁間に納めたり、天井面でブローイング等の断熱材吹き込み工法を用いることができますが、 外断熱では二重屋根にしなければならない手間がかかります 。
さて、ここで一般に知られていない外断熱の大きな問題に触れてみましょう。
それは、外断熱に用いられる発泡プラスチック系の断熱材の「経時劣化」の問題です。
発泡プラスチック系の断熱材は、小さな気泡の中に断熱効果ガスを封じ込める事によってその高い断熱性能を持たせていますが、この断熱効果ガスは少しづつ抜けて空気と入れ替わり、その断熱性能が低下するものがあり、フェノールフォームは比較的この経時劣化が少ないのですが、それ以外のものでは、5年の間に一気に20%の性能低下を起こすものがあります(5年目以降はあまり進行しない)。
従って、本来はそうした経時劣化を考慮した断熱材の厚みを考慮しておく必要があるのですが、殆どの設計者はそんな問題を知らないまま外断熱住宅を造っています。