- 尾上 雅典
- 行政書士エース環境法務事務所
- 大阪府
- 行政書士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
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- (弁理士)
廃プラすべて再処理、事業者に義務づけ 政府が検討
平成21年5月1日付の日本経済新聞に、気になる記事が載っていました。
廃プラすべて再処理、事業者に義務づけ 政府が検討
政府はすべての廃プラスチック製品を再処理する仕組みをつくる。現在は別々に回収しているコンビニ弁当などの容器包装とほかのプラスチック製品をまとめて回収し、新たにプラスチック製品にしたり、燃料にしたりすることを事業者に義務づけることを検討する。資源の効率利用と温暖化ガスの削減につなげるのが狙いだ。
廃プラスチック製品のうち7割を占める容器包装は全国の半数以上の市町村が分別して回収、容器や食品メーカー、小売業者の費用負担で再処理している。ただ残りの市町村は回収費用がかかるなどの理由で再処理していないほか、それ以外のプラスチック製品は焼却されているのが現状だ。
「地球温暖化防止のために、すべてのプラスチックのリサイクルを推進」というお題目は良いのですが、果たしてそれが現実的に可能なのかどうか・・・
環境省と経済産業省のHPを見てみましたが、日経の記事の内容を裏付ける記者発表はありませんでした。
ひょっとすると、委員会などでひっそりと議論された結果で、議事録などの公開もされていない内容なのかもしれません。
個人的見解としては、すべての廃プラスチックをリサイクルなんて、技術的に不可能ですし、経済的にも非効率だと思います。
プラスチックは石油から作った製品なので、簡単にリサイクルができるように思われがちですが、決してそんなことはありません。
汚れが付着したプラスチックを、何かの原材料としてリサイクルすることはできませんし、
手間ひまかけて燃料化しても、それを最終的には燃やすのであれば、もっと単純に最初から焼却をして、焼却によって発生した熱エネルギーを有効に利用する方が、「環境にやさしい」のです。
また、ヨットやバスタブに使われているFRPという硬質プラスチックは、非常に硬いという特質がありますので、現状ではリサイクル手法がほとんど存在していません(皆無ではありませんが・・・)。
それに、日本の法体系上、本来は、リサイクルよりも、「排出抑制」と「再使用」を優先すべきとされています。
「リサイクルできるから」ということを免罪符にして、日々廃棄物を増産し続けるような社会にするのは本末転倒です。
リサイクルに適したものは、分別保管などを徹底し
汚れの付着したものや、その他リサイクルに適さないものは、無理矢理リサイクルの事実を作り上げるよりも、汚れが付着しないような工夫や、排出抑制を図っていくべきなのです。
「リサイクルこそが最善」というわけではないのです。
NIKKEI NETには載っていませんが、日本経済新聞の紙面では、
「使用されない携帯電話の回収を、携帯電話事業者に義務付ける方向性」と書かれていました。
携帯電話には、レアメタルが使用されていますので、大切にリサイクルを進めることは重要です。
最初に必要なことは、リサイクルに適するものと適さないものの優先順位を明らかにすることです。