- 尾上 雅典
- 行政書士エース環境法務事務所
- 大阪府
- 行政書士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
産業廃棄物税とは
産業廃棄物税とは、法律の規定に基づく税金ではなく、各自治体が独自の条例を制定し、課税をするものです。
そして、徴収した税金は、各自治体の一般財源となるのではなく、一定の目的(不法投棄の監視など)に使途が限定されています。
産業廃棄物税はこれらの性質をもった税金であるため、「法定外目的税」となります。
※一般財源化できるものは、「法定外普通税」となります。
産業廃棄物税は通常、最終処分される産業廃棄物1tあたり1,000円という税率になっています。
その税金を納める義務があるのは、「排出事業者」と「中間処理業者」であり
多くの自治体は、最終処分業者を「特別徴収義務者」とし、排出事業者などが払った税金を自治体に対して納めさせています。
この仕組みは、源泉徴収と同様、自治体にとっては甚だ都合のよい方法となっています。
黙っていても、最終処分業者などから定期的に税金が入ってくるからですね。
このように便利な産業廃棄物税
今では、導入していない都道府県の方が少なくなりました。
では、産業廃棄物税はそもそもどういう理由で導入され始めたのでしょうか?
それはやはり、「産業廃棄物の発生を抑制する」ことが目的です。
産業廃棄物税を導入済みの自治体の発表では、「産業廃棄物税導入後は、産業廃棄物の発生量が減った」とされています。
しかしながら、全国の半分以上の都道府県で産業廃棄物の発生量が減っている「はず」なのに、日本全体で見ると、産業廃棄物の発生量は一向に減る様子はありません。
これが何を意味するかと言うと
本来なら、産業廃棄物税を導入した自治体内で処分されるはずだった産業廃棄物が、
産業廃棄物税を導入していない自治体に流出している
ということになります。
このような背景を考慮すると、各都道府県が自画自賛している産業廃棄物税の効果を、少し疑ってみる必要がありそうです。
次回のコラムでは、産業廃棄物税の導入状況や、具体的な問題点について解説いたします。