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東京都
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その退職代行サービス、契約して大丈夫?!

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こんにちは。消費者考動研究所/消費生活アドバイザーの池見です。

数年前から利用者が増えている「退職代行サービス」。
パワハラなど何らかの理由で上司や会社に直接退職の意思を告げづらい人の代わりに、会社に連絡などを行うサービスです。便利な面もありますが、「契約の内容が違う」「違約金を請求された」などのトラブルも起きています。十分注意して検討する必要があります。

利用を検討する時はここをチェック!

サービス選びより先に業者を選びが重要!

チェック1 代行業者(以下業者)の会社のことをよく調べる

退職は人生の中で大きなイベントです。退職の仕方や状況によっては、その後の人生に影響する場合もあります。本当に信頼できる業者なのか、慎重に選定しなければなりません。会社の所在地や電話番号、法人登記の有無、事業内容や会社の規模、弁護士や司法書士などの専門家が在籍しているかどうかは、必ず申込む前に確認しましょう。

インターネットで申込みが完結するネット通販の場合、業者は特定商取引法により、正式会社名と所在地、確実に連絡が取れる連絡先、販売責任者名、支払方法や解約返品の方法、サービス代金以外にかかる費用などを明示する義務があります。WEBサイトの多くの場合、ページの最下部などにリンクされています。必ず確認し、業者選びの参考にしてください。表示がない業者は避けましょう。
*読んでおきたいお勧めサイト 消費者庁「特定商取引法ガイド」通信販売

チェック2 業者の対応可能範囲

候補となる業者が、何をどこまで代行してくれるのかはとても重要です。
業者が、勤務先へ「○○様が退職したいとおっしゃっています」と伝言し、勤務先の言葉を本人に連絡するメッセンジャー業務だけなら、特に資格は必要ありません。

相手との交渉や書類作成代行などの仕事は、弁護士法により、弁護士や認定司法書士など、法律上認められた有資格者のみしか請け負うことができません。もし、法律で決められた範囲を超えた請負内容が書かれていたら、絶対に選ばないようにしましょう。また、業者が代理人になる契約書などを見せられても、安易に署名しないでください。

チェック3 事前に契約・解約の条件をしっかり確認する

契約は、一度約束すると、基本的には契約条件に従うことになります。
契約条件は、契約ごとに異なります。契約する前に、必ず規約や条項を全部細かく読み込んでください。

特に見落としがちなのは、解約のルールです。消費者の自己都合の場合と業者都合の場合、違約金などの清算や解約手続きの方法は、契約時に把握しなければなりません。なお、契約の途中で解約したくなっても、業者のWEBサイトや事務所に自分の意思で出向いて契約した場合は、クーリング・オフ制度がありません。利用規約や契約条項に従うことになります。

代金の支払方法も、請負契約ならば、特約が無ければ、依頼した内容を業者が滞りなく完了した後に支払って構いません。一部を先払いする場合は、その金額の根拠の説明を求め、業者の領収書をもらいましょう。少なくとも、全額先払いは危険ですので、応じないようにしてください。

わからないことや疑問点は、決してそのままにせず、業者に直接訪ねて説明を求めましょう。契約条件は、本来、お互いが話し合って決めるものです。業者から提示された内容を100%受け入れる必要はありません。契約前に交渉して合意すれば変更できます。十分慎重に確認し、少しでも不安が残る場合は、契約しないでください。

チェック4 こんなうたい文句に注意! 

世の中には、将来の事柄について、「100%成功する」「絶対に大丈夫」など確約できる約束などあり得ません。あたかも確実なように誤認させる行為は禁止されています。
また、代行業者が間に入ったことで勤務先とトラブルが起きる可能性もあります。契約書に「いかなるトラブルが発生した場合でも、当社は一切責任を負いません」などと書かれていたら要注意!なぜならば、消費者契約法で、消費者に一方的に不利益を負担させる条項はNGだからです。契約条件の変更を交渉するか、その業者と契約しないことをお勧めします。併せて、トラブルになった場合に、どのように対応してくれるのかも確認しましょう。

依頼を検討する前に労働相談を受けよう!

もし、代行業者を利用しようと思う背景に、勤務先の体制やハラスメントなどの問題があるならば、それは労働問題です。代行業者を選ぶより先に、国や地方自治体が行っている無料の労働相談を受けましょう。退職する意思を伝えるだけならば、自分で手紙やメールなどを勤務先に伝える方法もあります。
直面している問題や、雇用契約についての疑問・不安など、ご自身の場合はどうしたら良いか、アドバイスを聞きに行くことを強くお勧めします。その結果、もしかしたら退職せずに解決できるかもしれません。
*厚生労働省 相談窓口一覧リンク集

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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(東京都 / 消費生活アドバイザー)
消費者考動研究所 代表

消費生活の専門家が消費者教育・啓発や消費者志向経営をサポート

消費生活アドバイザーは、消費者・企業・行政の懸け橋として、法律、生活知識、消費者志向経営や環境問題まで幅広い専門知識を持つ消費生活の専門家です。企業・自治体等で培った豊富な実務経験とノウハウで、貴方の消費者力UPと企業活動をサポートします。

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