知っておきたいクリーニング店とのトラブル回避法 - 消費生活アドバイス - 専門家プロファイル

消費者考動研究所 代表
東京都
消費生活アドバイザー
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

知っておきたいクリーニング店とのトラブル回避法

- good

  1. 人生・ライフスタイル
  2. 消費生活
  3. 消費生活アドバイス
消費者力をUPする!暮らしのお役立ちワンポイント 衣生活のお役立ち情報

こんにちは。消費者考動研究所代表 消費生活アドバイザーの池見です。

冬物のコートやセーター、ゴールデンウィークの旅行などで着た服など、これからクリーニング屋さんに依頼する機会が増える時期になります。消費生活センターで相談が多いクリーニングトラブル。防ぐためにできる事と、万一の補償の仕組みをご紹介します。


[トラブル事例 Aさんの場合]

Aさんは、2014年に夫からプレゼントされたカシミヤのコートを毎シーズン着用し、2018年5月、いつものクリーニング店に持って行きました。
預ける時も引き取る時も、「店の人はプロだから任せておけば大丈夫」と思い、普段どおり特に自分で洗い方の指定や状態の確認チェックはしませんでした。また、引き取った後は、クリーニング店のビニールカバーを被せたままクローゼットに保管しました。

半年後の2018年11月、寒くなったのでコートを出したら、あちこちが変色していました。
Aさんは驚き、店に行って、夫が話していた購入価格の17万円で弁償してほしいと苦情を言いました。
店は、工場で現品を調査し、その結果、「半年前の事なので、加工伝票は処分しているが、現品の状態から加工ミスではない。あなたがカバーをかけっぱなしにしたのが原因と考えられる。ただ、うちも受け渡しの際に十分説明確認しなかったことは認める。定価の27% 40500円で買い取りたい」と提案されました。Aさんは納得がいかず、店に何度も購入価格17万円で弁償するよう言いましたが、対応してもらえませんでした。


もし、あなたがAさんだったら、このクリーニング店の対応に問題があると思われますか?
このトラブルを考える上で重要なポイントがあります。それは、「クリーニング店との受け渡し確認」「引き取った後の保管方法」「クリーニング店の賠償額は適正か」の3つです。


クリーニング店との受け渡し確認

クリーニング店にクリーニング加工を依頼することは、美容室でカットやパーマを頼むと同じ請負契約の注文です。着る人によって使い方や劣化する度合いが違いますし、服によっても洗い方が違います。仕上がりに対する期待値も異なります。
「確認や指示せずにお任せで預けること」は、「私の髪を見て好きなようにお任せで切って!」というくらいに、実はリスクがあります。(もちろん、カットモデルなどお任せでいい場合もありますが…。)
そこで、トラブルに遭わないために、私たち消費者も最低限次の準備と確認をしましょう!


1.クリーニング店に出す前のチェック

・傷・穴あき…もしあれば修理しておく。
・シミ・汚れ…糸で印を付ける。写真で記録する。
・ボタン…取れそうなものは補強し、洗えない装飾ボタン等は外す。
・ポケット…空にしておく。
*必ず洗い方を洗濯ラベルで確認しておきましょう。
洗濯ラベル絵表示については、こちらをご参照ください。新しい洗濯ラベル絵表示の「知っておくべき!」注意ポイント


2.依頼する際の相互確認

・どの様な着方で何シーズンぐらい着たのかは本人しかわからないので、店の人に説明する。
・洗濯ラベルを見せて、その服に合った洗い方を話し合う。
・シミ、汚れの原因を説明する。
・スーツやアンサンブル、共布ベルト等セット品は、同時に依頼する。
・預り証の内容をその場で確認する。
・万一加工トラブルが起きた場合は、どのように補償してもらえるのか確認する
*こうした打ち合わせができるかどうかは、安心して依頼できるお店選びの大切なポイントです。
*仕上がり後、店で保管してもらう場合は、保管規約を確認しましょう。


3.引き取る時の相互確認

引き取る際は、自分が依頼したとおりに仕上がっているか、必ず店の人と状態を確認します。美容室で必ず確認するのと同じです。何か問題があれば、持ち帰らずに、その場で原因調査と修繕を依頼します。問題個所と預かり票の写真を撮り、証拠の記録を残しましょう。


引き取った後のAさんの保管方法の問題点

Aさんは、半年間、クリーニング店のビニールカバーをかけたまま保管していました。
意外と知られていませんが、このビニールカバーやビニール袋は、あくまでも店内でのホコリ除け用として作られています。その為、通気性が悪く、入れたまま長期間放置すると、カビや変色の原因になる場合があります。(お店によっては、通気性の良い保管可能なカバーを提供している場合もあります。)

自宅に引き取ってきたら、すぐにビニールカバーや袋から服を取り出しましょう!
そして、明るい場所で再度仕上がり状態やトラブルの有無を確認してください。
更に、ドライ加工した服は、一定時間室内で通気してから保管することをお勧めします。ドライ加工で使用した溶剤の成分を揮発させて、匂いの付着やシミ・変色のリスクを減らすことができます。


クリーニング店の賠償額は適正か

Aさんの「買った時の値段で弁償してほしい」との要求に対して、クリーニング店は購入価格の27%の価格を提示しました。プレゼントのコートだけに思い入れもあり、納得できない気持ちは当然です。
ここで知っておきたいことは、クリーニング業界には、クリーニングトラブルが起きた際の賠償額を算定する基準がある事です。


クリーニング組合のクリーニング事故賠償基準とは?

全国のクリーニング屋さんの業界団体「全国クリーニング生活衛生同業組合連合会」では、組合内のルールとして、店側の原因でクリーニングトラブルが起きた場合の賠償額の計算方法やその考え方を定めています。それが「クリーニング事故賠償基準」です。

このクリーニング事故賠償基準の基本的な考え方には、次のポイントがあります。
・クリーニング店は、引き受ける前に、クリーニングできる服かどうかを確認し、洗い方について消費者に説明確認する。
・クリーニング事故が起きた際、事故原因の立証は基本的に店側が行う。
・洗濯加工工程の中で起きた事故は、消費者に問題があると立証できない限り、基本的には店側に賠償責任がある。
・賠償は、金銭支払いのみの「弁償」ではなく、「事故品の買い取り」。
・服は、購入後の時間経過とともに価値が下がり、服の種類や着方によって劣化の度合いが違うため、賠償額も「減価償却+種類+着方」で賠償割合を計算する。


Aさんの場合、クリーニング店は変色部分を工場内で検査し、コートに着いているタグを見てメーカーに洗い方や変色の可能性、発売時期や発売当時の価格などを確認しました。その結果、洗い方は工程上問題無く、発売時期は2015年10月で、当時の定価は15万円だったことがわかりました。
また、受け渡しを担当した店員の聞き取り調査の結果、変色と因果関係は無いものの、普段から説明確認が十分でなく、またいつも利用してもらっているお得意様なので、今回は買い取ることにしました。


そこで、クリーニング店は、クリーニング事故賠償基準に基づいて、次のように計算しました。
・コート(獣毛高率混) 商品別平均使用年数 3年
・物品購入時からの経過月数に対応する補償割合 44か月経過
・使用状況による補償区分 B級
その結果、補償割合は27%。

Aさんは17万円と主張しましたが、レシートなど証明するものはありませんでした。
そこで、メーカーで調べた15万円とし、また発売時期からの計算にしました。その結果、15万円×27%=40500円と算定したのです。
*参考 全国クリーニング生活衛生同業組合連合会「クリーニング事故賠償基準(運用マニュアル)」


いかかでしたか?
このAさんの場合は、クリーニング店は、加工に問題は無く加工ミスとは言えないものの、店員の説明確認不足があり、いつものお客様との営業判断も働いて、今回はクリーニング事故賠償基準に沿って買い取る和解案を提示しました。
でも、消費者側のAさんにも、半年間カバーのかけっぱなしや受け渡し時の確認不足など落ち度はありました。仮に、この店員さんが説明確認していたのに、Aさんがきちんと確認していなかったら、補償対象外になっていたかもしれません。

ぜひクリーニング店に依頼する際は、「お任せノーチェック」ではなく積極的にお店と話し合い、引き取った後は袋を外して保管するなど、プラスひと手間で快適なファッションライフをお過ごしになってはいかがでしょうか。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(東京都 / 消費生活アドバイザー)
消費者考動研究所 代表

消費生活の専門家が消費者教育・啓発や消費者志向経営をサポート

消費生活アドバイザーは、消費者・企業・行政の懸け橋として、法律、生活知識、消費者志向経営や環境問題まで幅広い専門知識を持つ消費生活の専門家です。企業・自治体等で培った豊富な実務経験とノウハウで、貴方の消費者力UPと企業活動をサポートします。

カテゴリ 「消費者力をUPする!暮らしのお役立ちワンポイント」のコラム

このコラムに類似したコラム

新しい洗濯ラベル絵表示の「知っておくべき!」注意ポイント 池見 浩 - 消費生活アドバイザー(2016/11/18 21:40)