- 寺岡 孝
- アネシスプランニング株式会社 代表取締役
- 東京都
- お金と住まいの専門家
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なぜ、年収4~500万円程度の若手サラリーマンが狙われるのか?
最近、私のところに来られる相談者の傾向として、投資マンションなどの不動産投資にカモられてしまう年収4~500万円程度の若手サラリーマンの事案が多くなっています。
それには、どういった背景があるのでしょうか。
年収4~500万円程度の若手サラリーマンがカモられてしまう
こんな相談者のお話をしましょう。
Eさんは年収500万円程度で30代の一般企業に勤めるサラリーマンです。
ひょんなことから、投資マンションを買う羽目にあいました。
それは、会社の先輩からの話で、投資マンション話を聞かされ、興味をもってしまったのです。
先輩も投資マンションを買っているという安心感も手伝ってか、不動産業者の話を聞くことにしました。
話を聞いてみると、何となく将来の不安が解消できそうなイメージで物件を紹介され、契約をしました。
しかも、続けて2戸も買ってしまったのです。
のちにわかるのですが、買った物件は都心ではあってもそれほどいい立地とは言えないもので、しかも建物自体は売値に見合った分譲マンションとは言えず、いわゆる地主さんが自分の土地に建てるRCのマンションの類で、しかも低層、高級感などはまったくありません。
そんな新築マンションでも、1戸当たり25㎡の1Kタイプで3,500万円近くの価格です。
しかも、賃料はせいぜい高くて9万円未満ですから、とても儲かるはずはありません。
こんな物件を自己資金10万円、その他はすべてローンで賄うというものでした。
購入の際には、なんと所有権の移転登記やローンの抵当権設定費用、細々した税金など、約100万円程度を業者が値引きをしていました。
Eさんに聞けば、不動産業者の方で特別に値引きしてもらったとのこと。
そのくらいの費用を業者が持っても、業者の儲けは2戸で概ね1,000万円近くは抜いています。
したがって、その程度の諸費用を値引くのには何の躊躇もありません。
ある意味、まんまとカモられてしまったわけです。
サブ・サブリースってどういうこと??
Eさんは現在、マンションを売却中で、もともとサブリースを利用していましたが、売却を機にサブリースの解約を行いました。
解約の申し出から実際に解約できたのは3ヶ月後で、サブリースを解約するには時間と費用がかかることが伺えます。
Eさんの場合の1戸はサブ・サブリースという賃貸借契約になっていて、かなり面倒なものでした。
この、サブ・サブリースって、いったいどういうことなのでしょうか?
通常、サブリースの場合には、オーナーとサブリース会社の間で賃貸借契約を結びます。
つまり、サブリース会社はオーナーから借り受けた部屋を第三者に転借(又貸し)するもので、オーナーの代わりに貸主として実際の入居者と賃貸借契約を結ぶところで完結するものです。
しかしながら、Eさんの場合には、このサブリース会社がまた別のサブリース会社と賃貸借契約を結んでいたのです。
なぜ、サブ・サブリースにしていたのかは不明ですが、オーナーと契約していたサブリース会社は小規模な不動産業者のため、広く入居者の募集行為が難しい状況であったと推察されます。
したがって、自社で入居者が見つけられないとなれば、賃料が入らないリスクが生じるため、あえて広域で入居募集ができる不動産業者とサブリース契約を締結したのでしょう。
そうしておけば、オーナーに対しては必ず保証家賃を払う義務があるので、そのリスクヘッジをサブ・サブリースという形態で補っていたと思われます。
Eさんは当初、全くその意味がわかりませんでしたが、要は又貸しの又貸しをされていたわけです。
本来、相場の賃料は新築1Kで85,000円程度でしたが、Eさんとのサブリース契約の賃料は74,000円、そのサブリース会社が別のサブリース会社と賃貸借契約を結んでいた賃料も74,000円程度で、入居者からの家賃は相場賃料で回収していました。
入居者がいてもいなくても家賃が入る家賃保証は、サラリーマン大家にとっては安心ですし、購入時のローン審査も通りやすいので、その有無は大きなポイントになります。
不動産業者としてはどうしてもマンションを売りたいので、入居の厳しいエリアであってもサブリースと家賃保証を付加し、ローンもOKにしてしまうのです。
こうした流れは充分に想定できるものです。
つまり、マンションを販売する業者がサラリーマンに物件を売りつける際には、サブリースと家賃保証が付いていないと売れないのが現実なのです。
素人目に見れば、都心のマンションで家賃保証を付いているし、ローンも購入金額100%融資が付くので優良な物件を見誤るのです。
しかしながら、業者にしてみれば、プロは絶対に買わないクソ物件ですから、いかにも優良物件に仕立ててサラリーマンに買わせるのです。
紹介料として数百万円も紹介者の先輩社員に支払う不動産業者
Eさんは、投資マンションを買っていた会社の先輩社員から紹介されて、投資マンションを買ったわけですが、不動産会社としては自社の社員が縁もゆかりもないEさんに営業してもそう簡単には売れません。
となれば、この先輩が営業社員と同様の働きをしてもらったので、その謝礼として紹介料を払っています。
概ね、数百万円は支払われていますので、それは先輩社員も色々な人に紹介して報酬を得ています。
そのため、紹介者自身の不動産投資に関する赤字は、この紹介料でチャラになっている可能性が高いと推察されます。
このように、紹介者を介して不動産の物件を買っているパターンは非常に多いものです。
例えば、勤務医の場合でも同僚や先輩医師から紹介を受けて買った、あるいは看護師の人で出入りの医薬メーカーの人から紹介を受けて買った、会社の先輩から紹介されて買ったなど、多々の相談事案があります。
中でも、若手で収入もそこそこのサラリーマンが先輩から紹介を受けて買っているパターンが散見されます。
こうした背景には、信頼や尊敬している同僚や先輩が「いい話だ」と言われると、断りきれない現実があり、不動産投資という得体のしれないものでも、「あの先輩がうまくやれているから大丈夫だろう」という変な固定観念が生まれ、ドツボにハマるという流れです。
先輩である紹介者は、不動産業者からの紹介料で潤うわけで、先輩は一度、味をしめたら忘れられない、しかも自分の投資案件は赤字であってもなかなか気づくことはないのです。
だから、後輩に紹介し、「俺はうまく行っているから」と自慢げに話をするのです。
先輩や身の回りから不動産投資の話が来たら、要注意を覚えていた方がいいでしょう。
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