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介護事業所におけるマネジメント⑤

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こんにちは!介護経営コンサルティング・介護施設紹介「株式会社アースソリューション」の寺崎でございます。


長きにわたって連載させていただいた「介護事業所におけるマネジメント」は、今回が最終回となります。

最終回の今日は、介護事業所において「現場感」と「マネジメント」のバランスをどう取っていくかについて、お話したいと思います。


以前のコラムにも書いたように、介護の世界で管理者と呼ばれる方の多くは、現場での仕事にどうしても追われてしまい、本来のマネジメント業務に十分な時間が割けない状況です。

特に中小・小規模事象者であれば、それは顕著に現れます。


どうしても、中小企業の場合は人材教育に力を注ぎにくい。経営資源が大手に比べるとやはり多くはないため、十分取り組むことが難しいという法人は多いのではないでしょうか?


他方において、介護保険法では介護事業所に対して「研修の機会の提供」を義務付けております。すべての事業所は研修計画を立て、各職種においてスキルを上げていき、ステップアップが図られる体制を整えなくてはなりません。


ただ、実際のところ、付け焼き刃的な研修に終始されているところ、あるいは研修自体をまともに行えていない法人が、いかに多いことか・・・


確かに、これだけ離職率の高い業界ですから、「研修したってすぐに辞めるのだから意味がない」と言いたくなる気持ちは、痛いほどわかります。


しかし、すべてのミスマッチをなくすことは到底できないまでも、法人が誰かを管理者として配置したいというならば、やはり研修をしなくてはいけないと思います。

介護事業法人にとって、管理者にさせたいと考える人材は、非常に貴重な存在であるはずです。

大手企業の中には、将来の経営者候補にしたい人材にはMBAを取得させる等、優秀な人材には学びの機会を提供しているところもあります。


MBAを取らせるまではいかなくても、やはり管理者は組織マネジャーなわけですから、全く知識がない状態で管理者に据えるよりはある程度研修を積んだ上で配置すべきだと思います。

これは「時間がない」とか「やっても意味がない」とか、言い訳などすることなく、着手すべきだと考えます。


介護職出身の管理者が一番陥りがちなのが、以前も申し上げた通り現場寄りの考えに立ち過ぎ、事業運営について疎かになってしまうことです。

特に、数字に弱い介護事業所管理者が、結構多い。


中には、現場をバリバリこなしつつ、経営面にも明るい管理者もいらっしゃいます。特に専門的なことを学ばなくても経営センスに長けている方は、確かにいらっしゃいます。


しかし、そういう方でも、全く勉強してこなかったわけではないと思うのです。

何か資格を取得するとか、そうでなくても本を読んだりして勉強するのもよい。先輩経営者や管理者の話を聴くのもよい。とにかく、学べる材料はたくさんあります。


勉強しても、それを「机上の空論」と唱える方もいます。

しかし、私は「机上の空論」とは思いません。

理論と現場とは、確かに違う。しかし、何らか勉強したことは、必ず現場に活かされると本気で思います。


今私が勉強中の中小企業診断士試験において、「企業経営理論」という科目があるのですが、そこに出てくる理論は実際の現場にも大いに役に立っています。


例えば戦略論に出てくる「SWOT分析」も、自社の強みと弱み、外部環境における機会と脅威は何なのかについて学べます。このSWOT分析は、実際の経営においてもすぐに活用できるものです。

介護の業界においては、外部環境において「少子高齢化のため、高齢者はしばらくの間増え続ける」ことが「機会」であり、そこにマーケットが存在する。介護保険制度としては、社会保障費が膨大になっているため縮小傾向であるという事実は「脅威」となる。


そんな環境下で、


自社は何が強みなのか。

弱みがあるとしたらそれはどんなことか。

弱みを克服するために、自社の経営資源をどのように配分するか


等々が考えられるわけです。

これは、SWOT分析の理論そのものであり、かつ実際の経営や事業運営に役立つものです。


ほかにも「ドメイン」という考え方があります。

自社のドメインを「介護保険」とするのか、「シルバービジネス」と位置付けるのか、はたまた「ヒューマンサービス業」と位置付けるかによって、当該企業の立ち位置は変わってきます。

この位置付け方を「ドメイン(企業ドメインや事業ドメイン)」というのですが、これは非常に大事なことです。


自社のドメインを「介護保険」という狭い領域に位置づけると、社会保障費の縮小によって影響をモロに受けるのですから、企業としては行き詰ってしまうことになります。

しかし、「ヒューマンサービス」と位置付けるならば、もしかしたら介護保険という狭い領域だけでなく、もっと視野の広い発想が生まれるかもしれません。


近視眼的な考え方に陥ることを「マーケティング・マイオピア」というのですが、今後の介護保険ビジネスにおいては実に言い得て妙だと思っています。

今後、介護保険制度に期待を持つことはできません。何故なら、社会保障費は今後も確実に縮小されるからです。

企業ドメインを「公的保険ビジネス」に置いていたとしたら、危険です。


話が長くなりましたが、こういった理論は一見すると机上論にも見えますが、実際の現場でも役に立つことは思いのほか多いのです。


どこまで学ばせるかについては、企業の諸事情もありますので一概には言えないのですが、要は介護事業所の管理者には、ある程度の勉強は必要だと思います。

例えば、組織論やリーダーシップ、マーケティングの基礎、それから諸法令(労働法など)の基礎は、学んで損はないと思います。介護保険諸法令の知識取得は、言うに及ばずです。それは管理者の最低限の責務ですから。


しかし実際、介護事業者の中でこのような取組みをしている法人は、正直言って少ないのが実競です。


確かに、理論を学べばそれでよいかと言えば、そうではありません。その人の人間性に問題があれば、それに引っ張られてしまいますので・・・


それは人事考課で評価するとして、管理者には管理者ならではの研修機会を与えることが、まずは必要なのではないかと思う次第です。


最後に、介護事業所の管理者は、まず現場のマインドを持っていること。

そして、事業運営に関する知識や感覚を少しでも養うこと。

そういうバランスの取れた将来のリーダーを、大変かとは思いますが是非とも育てていただきたいと思います。


そのためのご支援を、弊社では全力で行っております。




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(東京都 / 経営コンサルタント)
株式会社アースソリューション 代表取締役

介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします

有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。

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