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阿部 マリ
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岡野あつこ
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閲覧数順 2024年12月04日更新

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保障がないパート主婦が離婚、どうすればいい?離婚後の生活に関わる年金知識を押さえよう!

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結婚後、子育てや介護によりやむなく離職を選択する女性も多くいらっしゃいますが、そのような中でも数年後には家事や育児の合間にパートなどを探して家計を支えている妻がとても多いのではないでしょうか。
夫の「扶養範囲内で働いて欲しい」という願いを素直に受け入れて、仕事・家事・育児をバランス良くこなしている妻。
さて、このような状況で万が一夫婦関係が壊れ「離婚」になった場合、パート主婦はどのように離婚前後の生活再建をしていったら良いのかを考えてみました。

相談事例:パート主婦が離婚を選択

42歳パート勤務のA子さん。結婚15年。夫、中学生の娘、小学生の息子との4人家族。夫から「仕事をするなら扶養範囲内で働いて欲しい」と言われたことを機に、7年前から徒歩圏内の中小企業に勤務している。
最近、A子さんは夫から離婚を切り出されてしまう。
夫はすでに愛人宅へ身を寄せているために、A子さんの気持ちも冷めてしまい離婚を覚悟している。
離婚後の経済的自立を模索しているものの、近頃は体調も優れず正社員になることはすぐには考えられない状態。
気持ちは焦るが、なかなか前に進めないでいるようです。

離婚後の生活再建も大切だが離婚前の取り決めも重要

A子さんのような働き方を選択している主婦、じつはとても多いのです。
しかしこのような状況で「離婚」となった場合は何かと不安。
とは言え、離婚直後は諸々の手続きも多く、精神的疲労もかなりのものとなります。
気持ちを切り替えてすぐに転職活動にシフトできるというものではない状況なのかも知れません。

中年期の子育て女性ですから、まずは自身の体やメンタルと相談しながら少しづつシフトチェンジするというのも良いでしょう。
A子さんのようにすでに離婚を決意し、今後の生活再建を考え始めているような状況であれば、まずは生活を立て直すために考えることは大きく分けて2つ。
離婚前に必ずやる事離婚後に出来る事を考えてみましょう。

養育費の確保

離婚前には、必ず養育費の取り決めをして欲しいと思います。
「離婚後に決めれば良い」とか「養育費は必要ない」などと思わないでください。
養育費は子どもの権利です。
子どものためにも、A子さん1人で子育てに関する金銭的負担を負わなくても良い関係を今後は夫と保っていく必要があります。

離婚時の年金分割

離婚の際には財産だけでなく年金も分割されることになっています。
「合意分割制度」と「3号分割制度」という2種類の制度があり、どちらも2年以内に申請という期限が付いているので忘れずに手続きをしましょう。

<合意分割>
婚姻期間中、夫婦ともに厚生年金記録がある場合が対象となり、多い方が少ない方に分割します。
夫婦の合意または裁判によって合意分割を決定しますが、上限は多い方の厚生年金額の2分の1が上限です。
<3号分割>
2008年4月1日以降に専業主婦または主夫だった場合が対象となります。
夫婦の合意は必要なく、国民年金の3号被保険者からの請求で分割が成立します。
A子さんのケースでは3号分割に当たります。

人によっては、婚姻期間中に厚生年金保険料を払って働いている期間と専業主婦の期間がある場合も。
このような場合は、働いていた期間は「合意分割」、専業主婦だった期間は「3号分割」となります。

国民年金の支払いが困難な時

A子さんのように、離婚後も当面は働き方を変えることが出来ない場合で勤務先の厚生年金に入っていない場合は、離婚し夫の扶養から外れることで国民年金の「第1号被保険者」となるので速やかに切替手続きをしていきましょう。

<年金の免除>

手続きに関してはお住いの市区町村で行えますが、年金の切り替え手続きと同時に、該当すれば年金の免除申請を行うことが出来ます。
保険料免除制度とは、所得が少なく国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合、本人からの申請により承認されると保険料納付が免除となります。
免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1 の4種類です。

<年金の納付猶予制度>

また、現時点では年金を支払えないが、いずれ支払いたいという場合「年金の納付猶予制度」というものがあります。
これは「収入が少なくて今は年金を支払うことが出来ない」という方のために「申請をすれば年金の支払いを待ちます」というもの。
将来満額の老齢基礎年金を受け取るためには、猶予期間分も後で納め40年の納付とする必要がありますが、納付猶予制度のメリットとして、期間中も老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の受給資格期間にカウントされます。
老齢基礎年金を受け取るためには最低でも国民年金保険料の納付期間が10年必要になります。
老齢基礎年金の金額には反映されませんが、期間は受給資格期間としてカウントされるので有難い制度です。

<追納>

なお、猶予や免除によって将来の年金が減ることに対する救済処置として「追納」があります。
国民年金保険料を10年まで遡って支払える制度で、これにより年金額の減少を抑えることが出来ます。
老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上である場合、65歳から受け取れることになっていますが猶予や免除申請をしていない「未納」の期間はカウントされません。
未納の場合は納付期限から2年以内に納めなければならず、そのままにしておくと年金受給額に反映されず、受給資格期間にも算入されないのです。
受給資格期間の10年間を満たさなかった為に老齢年金を受け取れなかったり、万が一の時に障害年金や遺族年金を受け取れないようなことがないよう、年金の支払いが困難な時は未納にせず免除や猶予の申請をし、追納をしていきましょう。

離婚後の生活をいかに安定させるかが大きな課題だが・・・

子連れ離婚をした場合は公的な支援が受けられることも多いものです。
利用できる支援は、感謝して有難く受けておきましょう。
児童扶養手当やひとり親医療費助成制度、保育料の減免制度、小・中学の就学援助、高等教育無償化、交通費の割引制度、水道代の減免制度など、自治体によっては各種の助成があるのでお住いの市区町村にご確認いただくと良いと思います。
ただこれらは所得に応じて助成が受けられないことが多いので、今後の働き方を見直す際にもワークライフバランスを念頭に、無理のない選択が出来ると良いのではないかと思います。
そうそう。支援が受けられるかどうかの基準である「所得」には、元夫からの「養育費」も合算されますからね。

パート労働者への厚生年金の適用拡大

さて、ここでもう一度考えたいのがA子さんの働き方についてです。
離婚をした場合のA子さんは、自宅から徒歩圏内の中小企業で短時間労働のパート勤務をしており第1号被保険者となりました。
一方、2020年5月29日に可決・成立した「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案」の一部である「パート労働者への厚生年金の適用拡大」により、パートやアルバイトでも要件を満たす場合、幅広く社会保険の被保険者になることが分かりました。

簡単に説明をすると、
2016年には(1)労働時間週20時間以上(2)月収88,000円以上(3)勤務期間が1年以上の見込み(4)学生は適用外
(5)企業規模が501人以上
今回の改正⇒(3)撤廃(5)50人超規模の企業まで適用範囲を拡大・・2022年10月100人規模の企業、2024年10月50人超規模の企業

A子さんのように離婚後シングルマザーとなったが思うように正社員への道に進めない方にとって、厚生年金の適用拡大はありがたいこと。
厚生年金への加入メリットは老後に受け取る年金が増えることです。
しかもその保険料の半分は会社が負担してくれます。
また、病気や怪我で生活や仕事が制限されることになった場合「障害厚生年金」が給付されます。
A子さんの場合は中小企業でパート勤務をしているので、今回の改正で厚生年金に適用可能となる企業規模にあたるのか確認が必要です。

パートタイム・有期雇用労働法

また、2018年6月の働き方改革関連法の成立により「パートタイム・有期雇用労働法」が2020年4月1日から施行されました。

この法改正に伴い、同じ会社で仕事をする正社員とパートや契約社員、派遣社員などの非正規雇用労働者との間で、あらゆる待遇の不合理な格差を禁止することを定めています。
これによって、以前と同じ働き方をしているのに様々な手当が適用されているということも考えられます。

さいごに

事情により今すぐ収入を増やせない、転職が思うようにならない、などという事が現実的にあるかも知れません。
そのような時は公的支援などを上手く利用して乗り切ることも出来そうですね。
参考になれば幸いです。

 

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