- 尾上 雅典
- 行政書士エース環境法務事務所
- 大阪府
- 行政書士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
出典:毎日新聞ニュース 東名脱輪事故 バス直撃、元トラック運転手に実刑
この事件の直後、事件を引き起こした車両が産業廃棄物処理業者の所有であったため、一部、「産業廃棄物処理業者にも運送業の許可取得を義務付けよ」という声が上がっていたようです。
「運送業者だから事故を起こさない」というのは有りえない話なので、事件と規制強化を結びつけて議論するのはナンセンスです。
しかし、運行管理に関して行政から監督を受ける受けないは別として、これからの廃棄物処理業は、安全な運行管理にも配慮していかねばならないのは事実です。
事件と規制強化を結びつけるのがナンセンスなように、規制を受けないからと言って、事業者の最低限の義務である「安全な運行」をないがしろにするのは、もっとナンセンスです。
「コンプライアンス(compliance)」を「法令順守」とだけ考えてしまうと、「法律を守っておればそれで良い」となってしまい、法律以上に重要な、企業活動に対する「社会的な要請」を見失ってしまいます。
現在の廃棄物処理業界に必要なことは、規制を強化されてから慌てるのではなく、率先して自主的に「社会的な要請」に応えていく姿勢ではないでしょうか。
もちろん、単なる姿勢だけでは不十分で、実際に試行錯誤しながら、一歩ずつでも前進していくことが必要です。
もっとも、上記の話は廃棄物処理業界のみに必要な姿勢ではなく、社会的活動をする我々すべてにあてはまる話でもあります。
残念ながら、今の世の中、「法律が悪い」「制度が悪い」と批判をする人の声ばかりが聞こえ
真摯に「社会的な要請」に応えようとしている取り組みが評価されにくいのが現実です。
このコラムでは、そんな地道な取り組みをしっかり取り上げていくつもりです。