
- 増井 真也
- 建築部門代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
しかし、セルフビルドの簡単なイメージだけが先行し導入してみても、予想外に作業が大変で実はまったく出来なかったという最悪の結果もありうる。 導入の前には作業内容や必要な時間などよく説明し、施主の理解を得ることが非常に大切だと思う。そのためにも実際に作業をやった経験のある人による説明が重要だろう。
また、施工の精度についての許容範囲も施主によって大きな幅がある。セルフビルドで出来る精度をよく説明し、理解を得ることも重要だと思う。
このように現場にセルフビルドを取り入れるにはそれなりのコツが必要になってくる。素人でも出来る作業にするためには、「おさまりを簡単にする」「作業手順を区分けする」などの設計上の注意点も重要である。たとえば漆喰を塗る場合に、窓枠を巻き込みのデザインを採用すると、その角の部分の仕上げに非常に苦労する。そのような場合には窓枠をちりを確保して取りつけることで、角の施工はなくすことが出来る。
また、塗装のほうが簡単だからということで塗装を採用すると、パテ処理に予想以上の手間を必要とする。塗装工事は養生4割・下地処理4割・仕上げの塗装は2割が原則で、ペンキを塗る作業自体は簡単だがそれまでに多くの作業を要する。それであれば漆喰のほうが簡単だったという場合もあるので注意が必要なのだ。