- 増井 真也
- 建築部門代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
上記のような設計段階のコツだけでなく、現場管理においても同じようなことが言える。たとえば、天井板を塗装する場合、板を張る前に塗装するほうが圧倒的に楽である。であれば、作業に入る前に現場に材料を搬入しセルフビルドの塗装をさせてあげる段取りを組まなければ施主は作業をすることが出来ない。貼ってしまった天井板をさして、「どうぞ塗ってください」ではきれいに塗れるはずがない。それなりの段取りをしてあげることが工務店としての協力だろう。
また、作業方法を自ら調査し実践できる施主もそうはいない。基本的な作業方法はアドバイスし、時には指導のための職人さんを手配するなどしてあげることも重要である。壁の仕上げをセルフビルドで行う場合は、その作業が終わるまで設備器具やスイッチなどを取り付けることが出来ない。便器の付いている裏側の壁の塗装を行うことを想像すれば、それが不可能なことは容易に想像できるだろう。
セルフビルドのある現場の場合には最低でも1週間ほどの作業期間を確保し、施主にその期限内に作業してもらうことが重要である。期限内に行う作業と引渡し後に行う作業を適切に分別してあげることも重要だ。ゆっくり時間をかけて行う作業、工事期限内に行う作業、これらをしっかり区別しないと現場は混乱してしまう。
かくして、さんかくの家では無事セルフビルドによる作業が終了した。全ての作業が終了した充実感は何にも変えられないものがあった。