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大澤 眞知子
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(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
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閲覧数順 2024年04月15日更新

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海外駐在に同行する子供の英語能力・日本語能力について

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迷子になった日本の教育

海外駐在。 かっこいいと思っている人もいるのではないでしょうか

ところが、実は、連れて行かれる学齢期の子供にとっては、大きなチャンスとなる場合と、一生ついて回るマイナス要因になることがある事実、とても残酷だと感じています。

言語能力に関して、特に10代半ばを過ぎた年齢の子供の場合は、非常に難しいですね。

理由は下記の通りです。


(質問)

 

海外に駐在しています。
同じ学年の日本人のお子さんとはずっと英語圏に住んでて、現地の学校にいれていたのに日本語が上手なんです。

子供っぽい話し方をしないし、話し方も話す内容もしっかりしていて、つい最近まで日本で育ち、今も日本人とお付き合いしてる我が子の方が幼くて少しショックでした。

やはりこどものうちから、言語能力というのに差が出てくるものでしょうか?

他言語を習得するのが早い子とはどんな風に育ててらっしゃるんでしょうか?


(回答)

日本で言語学を専攻、カナダで脳科学に基づく言語心理学を学び、現在も日々進化する脳科学の基本を勉強中の立場からアドバイスさせていただきます。

日本で39年英語言語とクリティカル・シンキングを教えた経験を引っさげ、現在はカナダ在住、様々な活動をしています。


いただいた内容から判断すると次のようなアドバイスになります。


1.英語圏に長い日本の子どもは、恐らく脳の中では英語の領域が出来上がっていると考えられます。

その領域を使い、日本語を話すことで、非常に論理的・客観的、具体的な話し方が出来ると思います。


2カ国語を使える脳は、ふたつの領域があると考えられており、その領域と脳の他の部分とのネットワークが密接に結びついています。

従って、見えるもの、聞こえるもの、経験したもの、観察したものを、自由自在にどちらの言語でも感知し、表現出来ることになります。


英語が出来るようになった日本人の脳には、正確な英語文法ルールが蓄積されていきます。

・数の概念 (単数・複数)

・主語と動詞の一致 (英語には絶対に主語が必要ですし、その主語と動詞は一致していないといけません。)

・正確な動詞の時制 (英語は時制ルールが厳しい言語です。未来を語っているのにいきなり現在形を使うと全く違う意味になるか、意味不明で通じることはありません。)

・曖昧な表現は英語ではタブーです。常に自分の言っていることを論理的に裏付け、それへの実例も含む必要があります。)


まだまだありますが、これが英語を話すという基本です。

日本語とは、全く逆の場所にあるのが英語の文法ルールです。


日本語には

・単数・複数を区別することはまずないです。

・主語はほとんど省略されますし、動詞は文の最後の最後でないと出てきません。

・時制も曖昧です。 未来も、単に「〜です。」で済ませることが多いです。

・曖昧、一般的なことに終始するのが日本語です。 具体的に意見を述べるなどほとんどありません。


英語の出来るお子さんが、上記英語のルールで日本語を話すと、論理的・客観的に聞こえるのはそのためだと思います。

日本人より日本語の上手な日系二世の方にもよくお会いしますが、こちらが感心してしまうほどきれいな日本語です。

もちろん、その方には英語が母国語です。


引き換え、日本から来たお子さんは、まだ日本語の曖昧さ、言葉足らず言語構造のままで話していると思われますので、幼く聞こえるのだと思います。

特に、最近の子どもの日本語は文章さえも使いませんよね。

「学校で何した?」

「テスト」 主語も動詞もないこんな会話が日常なのが今の日本です。


2.では、日本の子どもが英語圏で生活すると英語のルールできれいな日本語を話せるようになるのでしょうか?


年齢、滞在年数、環境により大きく結果は変わりますので、相談にある内容ではこの部分は分析が難しいです。

ただ、私自身の長年の観察から言える事は、中学生・高校生年代からでは、個人の能力により大きく結果が異なるということです。


英語圏の現地校に通い、地元の友だちが出来、友達と過ごす時間も多く、学校の勉強も徐々にクリティカル・シンキングを理解している日本人の子どもは、英語の文法ルールの上達も早いです。

言語能力そのものが、単一言語しか使わない子どもより、はるかに効果的に発達していきます。


逆に、日本人学校に通い、或いは現地校でも友達が出来ず、英語社会にも溶け込めず、ひとりか家の中だけで過ごし、学校の勉強もクリティカル・シンキングについていく能力のない子供は、英語文法ルールも理解出来ません。

従って、英語は出来ないまま、日本語も中途半端になり、いわゆるSemilingual (2カ国語は少しは出来るが、どの言語も通常以下の能力しかない状態)という一生つきまとう問題に直面します。


3.本を読むことは、非常に重要な言語活動です。


留学したり、親の転勤で英語圏に来て、最大に能力を伸ばしている子どもたちは、まずみんな読書習慣を持っている子供たちです。

ただし、無理強いはしないこと。

あくまでも本は楽しんで読むものです。

「本は楽しいよ〜」という態度を親が常に見せること。

テレビなど消して、親が本に埋もれていると子供も感化され、book clubに参加するようになりますよ。


そして、本の内容を分析して親子で話し合うこと。

これも子供のクリティカル・シンキング能力を伸ばす大きなカギとなります。


Good luck!



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(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
Super World Club 代表

カナダにいらっしゃい!

カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。

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