日本で「あたしお母さんだから」の歌詞に批判が集まっているようですね。
そこで、歌詞の内容を見てみると「なんじゃ、これ?!」
カナダから批判に参戦してみようと思います。
「女性は「母」になると「個人」として生きることが困難になる。自由は誰もが保障された権利だが、極論すればこの国で「理想の母親」となることは、「人として当たり前の自由や権利の放棄」に結びつくほど苛烈だ。しかもそれは、「美しい」「正しい」母親像の称揚によって、女性たちに「自発的に」自由を捨て去ることを強いてきた。本件が示す問題の根は深い。」(水無田気流)
正に正論。
私もお母さんです。
日本のシングルマザーとして3人の息子を育てました。
小さいながら起業家として、自分の能力・スキルを生かし仕事をしながら、3人の息子を育てました。
私は日本とカナダを往復しならせっせと働き、息子たちはカナダを謳歌しながら勉強しました。
現在は、逆転。
私がカナダに移住、大学に戻ろうか、新しく起業しようかなど考えながら、カナダを謳歌しています。
息子たちは、東京に戻り、日本の巨大マーケットを相手に仕事をしています。
日本の男尊女卑社会で、自分のビジネスを維持していくことは想像を絶する困難がありましたね。
様々な厳しい経験を経て来ましたが、一番難しかったのは「親」であることでした。
子育て中の「親」は常に子供のために決断を迫られます。
そのたびに「一番正しいはず」という決断をし、子供を導いていくのですが、「正解」は存在しません。
「一番正しいはず」に自信が持てないときは、自分がこの世で最低の親なのではないかと悩み苦しんだこともあります。
でも、子供はどんどん成長します。
その成長を助けるためには、自分が落ち込んでいる暇などありません。
前向きに生きて、また「一番正しいはず」という決断をするしかありません。
「いい親」であったかどうかの答えは最後までわかりません。
私が死んだ後でもわからないと思います。
「親」として自信のないままでしたが、ひとつひとつ進んで来ました。
「親」であることは想像以上に難しかったです。
それを更に過酷なまでに困難にしたのが、「母親」に求める理想像との戦いでした。
「母親のくせに子供を預けて、何考えてる?!」
「まぁまぁ綺麗に化粧して!子供もいるくせに!」
「母親らしくない。」
こんな陰口がいっぱい聞こえて来ましたね。
しかも、陰口を叩いていたのは、味方になるはずの同性です。
社会で活躍する女性に対する同性の妬みかな?と感じていたのですが、どうやらその「答え」がこの歌詞に象徴されているなと笑ってしまいました。
「なぁ〜んだ」と。
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「お母さんになる前は、ヒール履いて、ネイルして。」
ははは。
お母さんは爪を綺麗にしてはいけなんですね。ほぉ〜、知りませんでした。
ヒールで闊歩するお母さん、カッコイイじゃないですか!
お母さんになってヒールもネイルも止めたということは、もともと身なりはどうでもいい本性が出ただけでは?
「お母さんになる前は、立派に働けるって強がってた」
これは、男の負け惜しみのセリフみたいですね。女なんかに仕事が出来るか!という。
「立派に働けるって強がった」のではなく、「立派に働ける」のが女性であり、お母さんです。
「走れる服着るの、パート行くから」
お? 何のパートしてるんでしょうね。
「走る」パート?
マラソンの伴走?
またしても、男が女性を「パートでもしてなさい」と古い古い型にはめたい願望歌詞のようです。
「新幹線の名前覚えるの、あたしお母さんだから」
ん?
子供と競争? ん?
「あたしお母さんだから 考えるのあなたのことばかり」
わぁ〜〜〜〜。
子供大変。
そんなに精神的に頼られたら、ものすごい負担です、子供には。
また、子供のことしか考えないお母さんて、周りの社会に対して、相当自己中心的。
乗り物や、お店などで、非常識、自分勝手な行動をする「お母さん」や「昔お母さんだったおばあさん」をよく見かけるのは、そういうわけだったんですね!
「こんな人に育てられた子供はえらいことやな。」と。
「痩せてたのよ お母さんになる前」
ははははははははは。 笑いが止まりません。
自分の生活を自分でコントロール出来ないで、デブになったことを子供のせいにするな〜〜〜!
「いいお母さんでいようと頑張るの あたしお母さんだから」
日本が求める自己犠牲に満ちた「お母さん」でいようと頑張るんですね、ほぉ。
無理やり「これも我慢した、あれも我慢した。 デブになったし。。 でも頑張るの。」なんて常にぼやかれたら、子供もたまったもんじゃないですよ。
トラウマが残ります。
「もしもお母さんになる前に戻れたなら、夜中に遊ぶわ」
はははははははは はっはっは はははは。
要はここですね。
夜遊び出来んのお前のせいや! と子供に言いたい「お母さん」
あらあら。
「あたし お母さんになれてよかった あなたに会えたから」
ふぅ〜。
子供には大迷惑です。 同情します。
この子供が大人になり、「お母さん」から離れる時には「お母さんのあたし」は泣き狂うのでしょうね。
もう何も人生の目的がなくなるわけですから。
________________________
親も子もひとりの人間。
全く別の独立した生命体。
お互いに、相手をひとりの人間として、Respect(尊重)すること。
過度に寄りかからない独立した位置から、お互いのことを思うこと。
これが親子のあるべき姿だと信じます。
「あたし お母さんだから あなたが必要なの」と子供に覆いかぶさり、精神的に依存するのが「親子」ではないです。
ま、この歌詞、吐き気がするほど幼く、気持ち悪い「押し付け母親像」だと感じました。
「私も お母さんですけど」と、大笑いした日本からのニュースでした。
Oh Man.
このコラムの執筆専門家

- 大澤 眞知子
- (クリティカルシンキング/バイリンガル教育)
- Super World Club 代表
Be Bilingual
カナダ在住。カナダからオンライン講座カナダクラブ提供。留学生へのアカデミックサポート(エッセイ指導)留学希望生へのアカデミック準備 (Reading, writing, エッセイ基本)Critical Thinking指導、最新の理論に基づくBilingual Education特別提供中。
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