- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
これはルネサンス期の建築家、アルベルティの言葉である。
フィレンツェの街を歩いていると、成る程、という気になるが、この「都市」を「社会」に置き換えてみることもできるだろう。
家は小さな社会である
これまで“子供部屋”をテーマにあれこれ書いてきたが、そろそろ自分の意見を書かなければならないのかも知れない。そう思った時に、このアルベルティの言葉を思い出してしまった。
家が小さな社会である、というのは、家は子供を社会に送り出すためのインキュベーター(保育器)である、という言い方ができるのかもしれない。
子供が社会に出るために最低限何を学ばなければならないだろうか?
僕は基本的に次の3つではないかと考えている。
1) 人の話しをちゃんと聞けること。
2) 自分の意見をきちんと話せること。
3) 我慢できること。
たったこれだけのことである。
しかし、たったこれだけのことができる子供は現在、いったいどれだけいるだろう?
もし、あまりいないとすれば、それはその親の世代でもそうなのだ、ということ他ならない。
”学級崩壊“が起こるのは基本的には学校の問題ではなく、家庭の問題である。
そして、たった3つのことを学ばずに社会に出てしまった先生の問題でもある。
住宅をどう設計するか、という設計力が、家族や子供の教育に何らかの影響を与えることはあるのかも知れない。しかし、親の子供に対する教育の不備を補完できるほどの力があるとは思わないで欲しい。
家は小さな社会である、という時の「家」は<物>ではないのだから、